研究課題
肺癌診療におけるX線CT検査利用の最適化の方法として、線量低減技術および、線量低減技術の応用として、CTによる動態撮影の条件について検討した。動態撮影について呼吸による胸郭、肺の動きを定量化するための検討を行った。動きによるアーチファクトによる要素を避け、被ばく線量を下げるための条件として、被検者に1分間12呼吸での自然呼吸を指示し、低電圧、低電流条件を用い、呼吸同期により連続撮影をすることで自然状態での吸気・呼気の時相を含んだ撮影ができていることが確認できた。視覚的評価では、冠状断において、肺内の血管の動きを追跡しうる画質が確保できることが確認できた。より客観的な動態評価を得るためのひとつの手法として経時的な画像データから、各時相における肺の動きを計算し、肺と胸膜の動きを視覚化する方法を検討した。胸部低線量CTの標準設定のために、管電流50mAsによる低線量画像を150mAsの画像と比較し、胸部CT検査で評価対象となる代表的な異常所見の有無、肺結節評価について診断結果に差がないことが確認できた。胸部病変一般について、高頻度に認められる肺野の異常所見6項目、縦隔の所見7項目を検討した。評価対象の医師の所見と、基準とした標準線量画像の所見との乖離を全ての項目、患者について計算し、その違いに差があるかどうかを検討した。異常の種類、肺内の部位ごとの検討で、標準線量画像と低線量画像に有意差がないことが示された。肺結節の性状については、標準線量画像、低線量画像の間で、肺結節の良悪性の判断に読影者内で有意差がないことが示された。低線量画像の臨床評価において、従来標準とされていた線量との直接比較をする代わりに、低線量画像の画像との比較を行うことで充分であることが示唆され、今後、低線量技術の診断能評価が容易になるとともに、各技術同士の相対的優劣が判断しやすくなることが期待される。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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