研究課題/領域番号 |
25461819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 知久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30321607)
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研究分担者 |
金柿 光憲 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50378676)
山本 憲 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60525567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MRアンギオグラフィー / 深部灰白質穿通動脈枝 / FSBB / TOF |
研究概要 |
平成25年度研究計画課題 ①深部灰白質穿通動脈を可視化する撮像法の開発と超解像度技術の導入 3T-MRI装置に適したFSBB撮像法の開発を実施した。1.5Tでは解像度も低く、比較的大きめのmotion probing gradient (MPG: 4s/mm2)が必要であったが、3TではMPGは0.3m/mm2にまで低下、背景組織の高信号を低下を最小限におさえて動脈を低信号に描出可能となった。さらに3T装置で使用可能となった32チャンネルコイルの活用で解像度も改善され、最終的には0.25x0.25x0.4mmとなり、目標解像度を実現した。 さらに7T装置で採用され、深部灰白質穿通動脈を可視化できるTOF-MRA法との比較を実施した。1.5装置ではTOF-MRAよりもFSBB-MRAの優位性は以前に我々が報告しているが、3Tでの検討では不十分であった。TOF-MRAでの描出能改善目的で、まずは背景信号を抑制して深部灰白質穿通動脈を改善する手法を検討した。具体的にはMTCパルスを0度、400度、750度(データ収集の中央部分のみ)の3条件でのFSBB-MRA撮像を行った。結果、400度で描出能が最も高いことが判った。 これをもとに、MTCパルス(400度)を適用したTOF-MRAとFSBB-MRAとの比較実験を行った。同一解像度、同一撮像条件での比較では両側を合わせた深部灰白質穿通動脈枝描出本数は、前者では4.7 (95% CI: 4.1 - 5.3)に対して後者では11.1 (10.0 - 12.1)、さらに描出された長さの総和は、前者では78mm (67 - 89mm)、後者では236mm (210 - 263mm)であり、3T-MRI装置ではFSBB-MRAの方が描出能が高いことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したように、年度計画を達成するとともに、既存手法との対比を行い、新たな手法である3T-MRI装置に於けるFSBB-MRA撮像法の有用性を証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題 ②疾患における病態変化の同定と深部灰白質穿通動脈の解析手法の研究 新たに開発した3T-MRI用の非造影・高分解能撮像法により患者群の撮像をおこなう。前述の成果に基づき、現在前方視的にデータ収集を開始している。我々はこれまでにも1.5T-MRI装置で最適化したFSBB-MRA撮像法を用いて、脳梗塞患者における深部灰白質穿通動脈枝描出低下を報告してきた。今回は改善された解像度を活用して、梗塞発症前の高血圧症や糖尿病など疾患を有する患者において、深部灰白質穿通動脈に生じる早期の病態変化の同定を3T-MRI装置で実現可能なことを検証する。 解析では血管描出数の減少のみではなく、屈曲・蛇行などの変化を計測するとともに、客観的な評価が可能な手法の開発をめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた出張ができず、さらに研究補助者雇用による画像データ解析が、適切な雇用対象者が見つからず、予算使用ができなかったため。 本年度は成果発表とより多くの被験者データ解析があり、予定されている研究補助者により解析を実施することで、遅滞なく研究を推進し、予算を使用する予定である。
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