研究課題/領域番号 |
25461819
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 知久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30321607)
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研究分担者 |
金柿 光憲 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50378676) [辞退]
山本 憲 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60525567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 磁気共鳴画像 / 基底核穿通動脈 / TOF-MRA / FSBB-MRA |
研究実績の概要 |
1. 深部灰白質穿通動脈を可視化する撮像法の開発と超解像度技術の導入 平成25年度は、3D TOF-MRA法による深部灰白質穿通動脈描出を実施、MTCパルスを採用することで描出を改善できることを示した。しかしながらその描出能は3D FSBB法によるblack-bloodとしての描出には及ばなかった。FSBB法の描出能の高さは明らかであるため、より多くの被験者におけるデータ収集を終えている。予算計上した研究補助者雇用を活用して解析を進めているが、データ量が多いため本年度も継続して実施する。その一方でFSBB法には血液流入速度に対する感度がTOF-MRA法に比較して低いという欠点がある。そこで本年度はTOF-MRA法において、流入血液信号の感度を増強するために2D撮像法の検討を実施、特に高齢者において、3D撮像法に比較して描出改善が得られた。現在データ収集に加えて、成果を論文として発表する準備を行っている。 2. 深部灰白質穿通動脈の解析手法の開発と疾患における病態変化の同定 深部灰白質穿通動脈は非常に細く、その評価自体必ずしも容易ではない。正しく病態変化を同定するには、客観的な評価が必要である。そのために本年度は対象血管を選択することでGaussian fittingによりその後は自動的にコントラスト比を算出可能とした。 3. 深部灰白質病変に関連する脳画像異常(二次性変化)の検出 深部灰白質に属する基底核・視床は大脳皮質と広範な連絡を有している。深部灰白質穿通動脈の障害により大脳皮質にも多様な変化を生じる可能性があり、近年そうした研究が進んできている。深部灰白質病変としては虚血・梗塞とともにパーキンソン病も挙げられる。本年度はこうした疾患に生じる変化を解剖画像や非造影脳血流画像(ASL)、拡散テンソル画像、安静時脳機能画像(resting-state fMRI)による計測を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. FSBB-MRA法による基底核穿通枝描出データの解析は順調に進んでおり、TOF-MRA法による描出能改善研究も同様である。 2. 非常に細い穿通動脈を客観的に評価する手法としてGaussian fittingによる評価方法を作成した。 3. さらにH26年度より深部灰白質病変に関連する脳画像異常の検出を目的として、他種類の画像撮像を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 深部灰白質穿通動脈を可視化する撮像法の開発と超解像度技術の導入 本年度当施設には7T-MRI装置が導入される。現在の非侵襲的な深部灰白質穿通動脈描出法としては、7TでのTOF-MRAが最善である。使用条件にもよるが、可能な限りこれと対比して3T装置でのさらなる描出改善を進める。 2. 深部灰白質穿通動脈の解析手法の開発と疾患における病態変化の同定 昨年度開発した技術に加えて、さらに深部灰白質穿通動脈の描出長や屈曲・蛇行を評価する手法を検討する。 3. 深部灰白質病変に関連する脳画像異常(二次性変化)の検出 深部灰白質病変で脳に生じる変化を検出できるよう、H26年度撮像を開始した多種類の脳画像撮像を増加させるとともに、それらを対象とした解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はデータ処理・解析を担当する研究補助者雇用を実施したが、応募人員数が予定よりも少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はFSBB撮像データを含めて多くの処理対象データが有るため、年度早期より解析を担当する補助研究者雇用を進めて、円滑に研究を進める予定である。
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