研究実績の概要 |
本研究では頸動脈ステント留置患者に対して、ステント前、ステント1日後、ステント1週間後、ステント3か月後の計4回脳血流を測定する。また両側の内頚動脈、椎骨動脈と脳血流測定面の角度を測定した。これはこの角度が血流量測定の精度に関係するためである。これまで7例の被験者ではこの計4回の測定がすべて終了している。また別の4例の被験者では、ステント1週間後までの3回の測定が終了している。 血流測定用の fast-cine phase-contrast imageのparameterはTR:7.2, TE:3.8, FA:20, FOV:120, Matrix:192x192 , Encoding Velocity:150cm/sec Slice thickness: 3mm Number of cardiac phase 16 である。 7例の被験者(68-84才 メデアン 71才 男5 女2)での測定によれば、各動脈と測定面との角度は1.4度から35.1度(平均 18.0度、標準偏差 8.3)であり、MRIの時期により差が見られなかった。3本の血管の血流量の合計はステント前、ステント1日後、ステント1週間後、ステント3か月後の各々の時期に対して、9.1+/- 2.8 (ml/sec 平均 +/- 標準偏差), 11.0 +/- 2.3, 10.4 +/- 2.4, 9.6 +/- 1.8であった。椎骨動脈およびステントと対側の内頚動脈の血流量はステント前より時期を経るにつれて減少する傾向が見られた。ステントを受けた側の内頚動脈の血流量は、ステント前後で増加するが、その後は他の血管と同様に3か月の間で徐々に低下していく傾向が見られた。 このことはステント後脳血流が安定するには数か月以上を要することを意味するものと思われた。
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