研究課題
本研究は、半導体検出器を用いた全く新しい単光子放射断層撮影 (Single Photon Emission Tomography:SPECT)装置を用いて、非侵襲的に、短時間かつ低被曝下に、心筋局所血流の定性・定量解析を三次元的に総合評価することによって、虚血性心疾患の診断能を飛躍的に向上させ、ひいてはカテーテル治療やバイパス手術等の血行再建術の適応決定等の実臨床に資することを最終目的とした。まず、半導体SPECT(DNM 530c)において、診断能を低下させることなく、被曝低減を可能とするRIの最小投与量が3MBq/kgであることを明らかにした。胸部ファントムを用いて検証後、臨床例で従来型のアンガー型カメラと比較して決定した(論文:Ann Nucl Cardiol 2015;1:18-26)。平行して、ダイナミックデータをもとに局所心筋血流量および心筋血流予備能(MFR)の定量評価のソフトウェアを作成して、昨年特許を二件出願、取得した。最終的な結果画面には、左室心筋全体を概観できる極座標表示 (polar map)を用いた。同ソフトウェアを用いて、半導体SPECTから非侵襲的に得られたMFR indexを、心臓カテーテル検査時に得られたFFRおよびSYNTAX SCOREと比較検討したところ、有意な相関関係を認めた。心筋SPECTの弱点とされてきた多枝病変の診断能の向上に寄与する有用な指標となりうると考えられた。また、連続149症例において、心臓CTを用いた心筋perfusionや、心臓MRIなど他のモダリティから求められる局所血流量やMFRとも比較した(論文:Eur Radiol 2016:in press)。本装置の総合的な虚血性性心疾患の診断能については、国内4施設による多施設共同研究を日本核医学会のWorking groupに登録して、1000例の冠動脈施行例について実施した(論文:Journal of Cardiology 2016:in press)。成果については、北米放射線学会年次総会(RSNA、シカゴ), 心臓核医学セミナー(韓国ソウル)など国内外の学会で発表した。
すべて 2016 2015
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Journal of Cardiology
巻: 80 ページ: in press
10.1016/j.jjcc.2016.02.020.
European Radiology
巻: 26 ページ: in press
Annals of Nuclear Cardiology
巻: 1 ページ: 18-26