研究課題/領域番号 |
25461835
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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研究分担者 |
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
高司 亮 大分大学, 医学部, 助教 (90464453)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像診断学(含放射線診断学) / 腎臓 / リンパ管 / MRI |
研究実績の概要 |
平成27年度は,平成26年度までに報告してきた正常腎機能・腎形状を有する50症例(100腎)を対象とした,高分解能MRI(3D脂肪抑制heavily T2強調画像)による腎周囲リンパ網の研究成果を論文に仕上げた.最終結果として,3T-MRIでは,評価を行った腎周囲4領域【①腎筋膜下、②腎被膜周囲、③腎被膜-筋膜間、④腎門部】のうち,腎門部リンパ路は100%の頻度で良好に同定することが可能であった.しかしながら,腎被膜周囲リンパ路は44%,腎被膜-筋膜間リンパ路は39%,腎筋膜下リンパ路は22%と十分なリンパ路同定には至らなかった.その理由として,腎周囲リンパ網の主流が,腎門部リンパ路であり,そのため腎門部リンパ路は他の領域と比べ,リンパ管径が大きいことが解剖学的文献と併せて考察することができた.また,腎筋膜下リンパ路の同定率が最も低かった理由として,3T-MRIが有する固有のアーチファクト(波状構造が腎周囲に現れる)が一因であると結論づけた. 以上の研究成果をまとめた論文をJournal of MRI (インパクトファクター3.21)に投稿し,査読者から高い評価を受け,アクセプトされた. 平成27年度は,病的状態(浸潤性腎腫瘍、腎盂腎炎、腎機能障害など)を研究する予定にしていたが,現時点では浸潤性腎腫瘍患者が8例,腎機能障害患者が17例に留まっており,少なくとも比較検討を行うには,各疾患群とも最低20例は必要であると考えており,一年研究期間を延長して,引き続き病的状態を対象とした研究(病的リンパ路の解析)を進める予定である.正常例におけるMRI解析は既に終了し,現在論文を投稿してrevisionの状態である.しかしながら,腫瘍性・非腫瘍性疾患の病的対象群の症例数が当初予定した程伸びず,もう一年,研究を延長して病的状態の腎周囲リンパ路のMRI解析を続けて行きたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腫瘍性・非腫瘍性疾患の病的対象群が当初予定していた症例数に達しなかった理由として,大学病院での臨床科の対応が十分ではなかったことと,手術と検査待ち日数の折り合いが十分付かず,術前にMRI撮像を行っていなかった例も多少見受けられることが判明した.また,腎腫瘍に関しては,遠隔転移などがCTにて見つかり,MRI撮像にまで至らなかった例や,腎盂腎炎などの炎症性患者は大学附属病院で紹介を受ける頻度は極めて少ないことがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
一年研究期間を延長して,再度研究の協力をお願いしている泌尿器科に研究対象者に対するMRI検査の徹底した実施と,当科でもMRI研究の撮像枠を増やす努力を行い,研究の推進を図って行きたいと考えている.また当初,本研究の対象に含めなかった透析患者における腎周囲リンパ網の高分解能MRI評価も,可能であれば泌尿器科に相談の上,研究計画の追加・変更として実施して行く予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の予定より遅れており,現在腫瘍性・非腫瘍性疾患を対象に引き続き研究を進めている状態である.したがって,一年研究期間を延長し,病的対象群における3T-MRIでの腎周囲リンパ路状態を解明する予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
病的対象群における3T-MRIでの腎周囲リンパ路評価をまとめ,最終的に国際学会で発表(できれば論文投稿まで)を行う予定である.その国際学会での成果発表の旅費ならびに論文掲載料に対し,予算を使用する計画である.
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