研究課題/領域番号 |
25461835
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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研究分担者 |
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
高司 亮 大分大学, 医学部, 助教 (90464453)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎臓 / 腎機能障害 / リンパ管 / MRI / 高分解能 |
研究実績の概要 |
最終年度は腎機能障害患者(血清クレアチニン値>1.1mg/dl)を対象に,高分解能MRI(3.0Tによる高度脂肪抑制T2強調画像)による腎周囲リンパ網の評価を行った。その際,既に英文雑誌(JMRI 2016;44:897-905,IF 2.93)に発表した後腹膜臓器に疾患や手術既往を有さない正常腎機能患者50名(100腎)をコントロール群とし,両グループでの腎周囲リンパ網の描出率,ならびにcapsular lymphaticsと関連のあるsubcapsular renal cysts(SCRC)の頻度に関しても検討を加えた。
その結果,capsular lymphaticsは腎機能障害患者27名(54腎)の全腎(100%)で良好に描出され,正常腎機能患者50名(100腎)における描出率46%と比べ,有意な差(p<0.0001)が見られた。また,SCRCも腎機能障害患者で89%(48/54)と,コントロール群(14%, 14/100)に比べ高頻度に認められた。一方,renal hilar lymphaticsは正常者では全腎(100%)で良好に描出されたのに対し,腎機能障害患者では両腎で75%(40/54)の描出率に留まり,有意差(p<0.0001)を持って,描出率の低下が見られた。
今回の研究結果から,腎機能障害患者では,腎実質においてリンパ流のうっ滞や逆流が生じ,本来の腎被膜・腎実質から腎門へ向かうリンパ流が,逆に腎実質から腎被膜への流れが主になるものと推測した。腎機能障害患者で腎被膜リンパ路と連続性を有すSCRCが高頻度に見られたのも,同推測を裏付けるものだと思われた。本研究成果は,2017年3月に韓国ソウルで開催されたMRIの国際学会(ICMRI 2017)で発表し,高い評価が得られた。
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