本研究の目的は、死因/病態の違いによる死後画像所見の違いを明らかにするために、動物を異なる手法を用いて死亡させ経時的に死後画像を実施するものである。計画では脳梗塞・肺塞栓・致死性不整脈群を作成する予定であったが、カテーテル操作等による画像修飾が著しく経時的画像観察には適さないことが判明したため、窒息・溺水・低体温及びコントロールの4群が比較対象となった。また、家豚をもちいることが計画されたが撮像装置への搬入等の負担が大きく、画像評価が可能な小型動物への変更が検討され、ウサギに変更された。 各死亡原因群を経時的に観察/撮像することにより、得られた画像所見が異なることが明らかとなり、死亡原因判定に死後経過時間を考慮することが必須であることが明らかとなった(Legal Medicine 2016 “Postmortem computed tomography findings in the thorax – Experimental evaluation”。 平成26年度からの計画に含まれるヒトの死後画像の経時的評価については動物実験と同様の方法では実施できないが、24時間内外を隔てて同一ご遺体を2回撮像することができ、経時変化についての考察を行い論文発表した(Legal Medicine 2015 “Time-related course of pleural space fluid collection and pulmonary aeration on postmortem computed tomography (PMCT)”)。 平成27年度には日本医学放射線学会(平成27年4月 横浜)・国際法医画像学会(平成27年5月 イギリス)・北米放射線学会(平成27年12月 米国)にて上記成果は発表した。また、溺死に関して海水/淡水の差異による死後CT画像所見の相違がないことを明らかにし論文発表した(Legal Medicine 2016 “Experimental drowning lung images on postmortem CT – Difference between sea water and fresh water”)。
|