研究課題/領域番号 |
25461838
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
沼野 智一 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (10399511)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | MRI / Elastography / MRE |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、全てのMRI装置でのMRエラストグラフィ(MRE)を可能にするための技術開発にある。MREを実施するためには、MRI装置に同期した加振動システムとMRE専用パルスシーケンスが必要となる。研究代表者は既にMRE専用パルスシーケンスに代わる方法論・技術を確立しており、その内容を論文(Magn. Reson. Imaging 33 (2015)31-37)として発表している。しかし、この方法でも、MRIと振動を同期するための配線接続が必要であった。配線接続は装置に余分なケーブル等を配線(あるいは改造)する必要があり、配線の必要とするシステムでは、本研究の目的である「全てのMRI装置でのMRE実施」を実現したとは言えない。そこで、配線接続を必要としない新しい加振動システムを開発した(No.1686 ISMRM2014)。具体的な方法はマグネットルームに自作のダイポールアンテナを設置し、そのアンテナが撮像中にマグネットから漏れ出る、励起RFを受信する。励起RFはMRIの動作に対して極めて正確な時刻に照射されるため、同期信号としても利用できる。励起RFはアンテナをマグネットルーム内に設置できれば、マグネットから距離が離れていても十分な感度で受信できる。よって、本システムはMRI装置に余分な配線接続をしなくても同期信号を取り出すことができた。 新たに開発した加振動システムを利用した実験を、寒天ファントム、ボランティアの大腰筋を対象にして行い、MREの実施が可能であることを実証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MREを実施するための装備を全て自作しているので、装置の改良やシステムの改善をすぐに実施することができる。独自性・独立性を有する研究として機能していることが「当初の計画以上に進展している」理由になっていると考えられる。また、本研究に至るまでの技術蓄積・経験もその理由の1つである。
|
今後の研究の推進方策 |
実証実験が成功裏に終了したので、今後はボランティアを対象にしたスタディを実施し、本手法の適用部位を増やす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、感度の良いアンテナを制作するために専門業者による試作を予定していたが、予備実験で作成した自作のアンテナでも十分な感度があることがわかった。よって外注するはずだったアンテナ作成費用がほぼ0となったため「次年度使用額」が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
本研究成果をヨーロッパでも発表するために、欧州放射線医学会(ECR2016)の参加を予定している。よって、ECR2016の旅費として使用する。
|