研究課題/領域番号 |
25461839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
古川 顕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
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研究分担者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90252395)
山本 寛 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00283557)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 消化管運動 / MRI / 機能画像 / 機能評価 |
研究概要 |
本研究は、高磁場MRIを用いた高速撮像法にて腸管のぜん動運動を撮像し、腸管運動の定量的評価法を確立させることと、その結果を用いて腸管ぜん動運動の生理、病理を検討、解明しようとするものである。平成25年度から3年間にわたっては、MRI画像を用いた腸管ぜん動運動の定量評価法の開発、改良と、過去3年間の研究で確立された定量評価法を、倫理委員会で承認が得られた臨床例に適応し、さまざまな状況下での消化管ぜん動運動の観察と定量評価、病態解明を目指して研究を進める。 平成25年度で得られた成果は、 1)高磁場MRIを用いた高速撮像法で撮像された画像は、疾患例(肥満減量手術対象患者および上部消化管悪性腫瘍患者)においても定量評価可能な画質で撮像可能であることが明らかになった。本研究では、呼吸停止下に30秒間(60枚)の画像を撮像しているが、それらの画像は、呼吸運動や体動によるアーチファクトがなく、コンピュータ解析に適合する画質を有することが示された。 2)肥満減量手術の術前後の消化管ぜん動運動を検討する臨床研究では、術後は術前に比較して明らかに消化管ぜん動運動が亢進し、消化管内容物の運搬促進が認められる事実が明らかになった。この新たな知見は、“肥満減量手術後に糖代謝異常が改善する”という既知の現象を説明する一つのメカニズムを解明する成果をもたらした。すなわち、本研究の結果から“肥満減量手術後の糖代謝異常の改善は、術後に認められたぜん動運動の亢進と運搬能の促進が内容物の早期終末回腸への早期到達をもたらし、GLP-1の分泌を促進した結果、インシュリンの食後早期分泌が惹起された結果である”と考えられた。 3)上部消化管悪性腫瘍術後の消化管ぜん動運動の変化に関する研究については、現在、臨床データ蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高磁場MRIをによる高速撮像法を用いた腸管のぜん動運動の機能評価法の確立と、臨床例における腸管ぜん動運動の観察と定量評価、病態の解明を目指している。平成25年度には、当初の予定通り、 1)臨床例において機能評価が可能であることが示された。 2)肥満減量手術の術前後の消化管ぜん動運動を検討する臨床研究で、前述のごとく一定の成果が得られた。 ただ、以下については、平成25年度以降に引き続き検討が必要である。 1)コンピュータを用いた全自動機能定量評価法については、腸管内腔の信号強度により測定誤差が発生しており、今後その克服法の開発が必要である。 2)上部消化管悪性腫瘍術後の消化管ぜん動運動の変化に関する研究に関しては、症例の収集が若干、当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。 1)コンピュータを用いた全自動機能定量評価法について、腸管内腔の信号強度により測定誤差が発生するという問題点を克服する技術改良を加え、技術完成を目指す。 2)肥満減量手術の術前後の消化管ぜん動運動を検討する臨床研究について、臨床例を蓄積し、初期成果の信頼性の評価と新たな知見の発見を目指す。 3)上部消化管悪性腫瘍術後の消化管ぜん動運動の変化に関する研究に関して、症例の収集の収集を継続し、結果の検討、考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
想定より安価で物品が購入可能であったこと、および、予定していた合同会議の回数が想定より少なくて済んだためである。 本年度は、臨床研究がさらに本格化するため、合同会議の必要性が増すことが想定され、その費用に充てる予定である。 また、研究に必要な物品の充実を図るための購入資金に補充する予定である。
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