研究実績の概要 |
多発性硬化症患者13名および年齢をマッチさせて健常者13名に対し、高磁場(3T)装置を用いて拡散強調画像を含めたMRI撮像を行った。拡散強調画像のデータから、側脳室内の脳脊髄液の拡散係数を求め、拡散係数から脳温度(脳室内脳脊髄液温度)を算出した。多発性硬化症患者の脳温度は平均35.81℃であったのに対し健常者の脳温度は平均36.29℃であり、前者が後者に比べ、有意に(P=0.029)低いことが判明した。この原因としては、多発性硬化症患者の脳代謝が低下し、熱産生が少なくなっていることが考えられた。この研究成果は下記の論文に発表した。 Sai A, Shimono T, Sakai K, Takeda A, Shimada H, Tsukamoto T, Maeda H, Sakamoto S, Miki Y. J Magn Reson Imaging. 2014 Sep;40(3):649-54. また、妊娠可能女性20名(21.3歳~28.8歳、平均28.8歳)において、卵胞期と黄体期に拡散強調画像を含めたMRI撮像を行い、拡散強調画像のデータから、側脳室内の脳脊髄液の拡散係数を求め、拡散係数から脳温度(脳室内脳脊髄液温度)を算出した。その結果、卵胞期の平均脳温度は36.24℃、黄体期の平均脳温度は36.96℃で、後者は前者より有意に(P<0.0001)高かった。体温が月経周期に伴って変動していることはよく知られているが、脳温度も月経周期に伴って変動していることが初めて明らかになった。この研究成果は下記の論文に発表した。 Tsukamoto T, Shimono T, Sai A, Sakai K, Yamamoto A, Sakamoto S, Miki Y. .Jpn J Radiol. 2016 Apr;34(4):277-83
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