研究課題/領域番号 |
25461844
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 信人 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50382601)
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研究分担者 |
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
福本 健太郎 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00514407)
水野 昌宣 岩手医科大学, 医学部, 助教 (70382603)
中村 豊 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (60328614)
小林 仁 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (60215358)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中枢神経ループス / 全身性エリテマトーデス / 7Tesla MRI / 髄質動静脈 / 脳微細血管炎 |
研究実績の概要 |
7 Tesla MRIを用いて従来困難であった中枢神経ループス(NPSLE)による早期脳微細血管病変の描出を試み, NPSLE患者に特徴的な所見を検出することが可能か前向き検討した。対象:アメリカリウマチ学会SLE分類基準(1997年)を満たす患者20名 (男3名, 女17名(平均年齢35.5歳))7Tesla MRIを用いて高解像度T2WI (2D spin-echo法)および高解像度T1WI (3D spoiled gradient-echo法) (造影前後)で撮像した。神経放射線科医に臨床情報なしで2回読影し一致した所見を所見有りとした。 【結果】20例中5例の患者(年齢:15-39歳[平均27.0歳];男1名,女4名)がNPSLEの診断となった。 単純T1WI:皮質下白質・皮質の点状・線状高信号病変(SCMH)をNPSLE群(80%)においてnon-NPSLE群(7%)に比し高頻度に認めた(p=0.001, Fisher検定)。 造影T1WI:同部位の点状造影病変(SCME)を NPSLE群のみ(60%)に認めた(p=0.001, Fisher検定)。T2WIでは、SCMH/SCMEの部位に異常所見を認めなかった。陳旧性梗塞をNPSLE群20%, non-NPSLE群20%に, 無症候性大脳白質病変をそれぞれ20%, 27%に認めたが、2群間で有意差を認めなかった。7Tesla MRIによる高解像度T1WIにおいて, NPSLE患者でSCMH/SCMEを高頻度に認めた。本所見の分布は髄質動静脈に一致しており, 病理学的に認められる脳微細血管の血栓や炎症を反映した所見と考えられた。 【結語】7Tesla MRIを用い、non-NPSLE患者に比べ、NPSLE患者に有意に高い比率で脳微細血管病変を検出した。7Tesla MRIがNPSLEの早期発見に有用である可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NPSLEで病理学的に認められる脳微細血管の血栓や炎症を反映した所見を7TeslaMRIで検出できた。NPSLEは稀な疾患であるが前向き研究で証明できた。 Neuroreportに掲載され7TeslaMRIによるNPSLE所見についての世界で初めて報告できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のNPSLE患者では1.5 Tesla MRIで所見を認めなかったが, 解像度は低く撮像方法も異なる。7 Teslaの優位性を確立するには, 3 Teslaの同様撮像法との比較研究が必要である。SCMH/SCMEの局在・分布のみでNPSLEの神経精神症状を説明するのは困難であり, 責任病変の一部のみを描出している可能性がある。神経精神症状との関連性や発症予測能は現時点で不明であり, さらなる前方視的検討が必要である。 来年度は3TeslaMRIとの比較検討および症例数を増やし病変部位と神経精神症状との関連性を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前向き研究に組み込みできた症例が当初計画に比べ少数であった。そのため余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は前向き研究に取り入れできた症例の画像所見についても検討する。 3TeslaMRIとの比較研究についても次年度から行う。 NPSLE症例について県内協力病院にも紹介をお願いする。
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