研究課題/領域番号 |
25461845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
寺崎 一典 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60285632)
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研究分担者 |
小豆島 正典 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00118259)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PET / 放射性薬剤 / 核薬学 |
研究概要 |
固相抽出法(SPE)によるPET 薬剤の製剤化は、合理的で迅速、かつ高品質な注射剤が得られ、エバポレーター法に替わる標準法として定着すると思われる。本研究では、臨床的有用性の高い数種のPET 薬剤に対してSPE による製剤化法を最適化し、製剤の安定性、溶解性を保持できるエタノール濃度を設定する。また、エバポレーターを用いた製剤化法と比較し、SPE 法の有用性を明らかにする。 (1)[18F]FRP-170の製剤化 [18F]FRP-170は放射線分解を起こしやすく、特に、エバポレーターの際に分解が促進し、その結果として放射化学的純度を低下させる。SPE法を実施するにあたっては、FRP-170が比較的極性が高く、逆相系C18ではトラップされにくいため、極性化合物の濃縮が可能なグラファイトカーボンを充填剤するENVI-Carbの適用を試みた。トラップ効率は低い傾向にあり(90~95%)、0.6 mLのエタノールによる回収率も若干低値を示した(80~88%)。送液のガス圧を制御によって改善する可能性があるが、SPE工程の迅速性を考慮すると上記条件は妥当であると判断した。 (2)[18F]AV-45の製剤化 [18F]AV-45は高脂溶性化合物で、放射線分解を起こしやすい。また、光異性化に起因する放射性不純物が生じるため、エバポレーターによる乾固工程は遮光下で実施しなければならない。一方、SPE法を適用することで、これらの問題を解決できる。希釈液、洗浄液ともに0.5%アスコルビン酸ナトリウム液を用いて、カートリッジへの通液を開始して7分以内に注射剤を得ることができた。洗浄液に注射水を用いた場合、カートリッジ内で放射線分解が起こり放射化学的純度の著しい低下を認めた。エタノール含有(2.5% v/v)によって製剤の安定性、溶解性は十分に保持されることを確認した。以上より、SPE法による製剤化は省力的、かつ効率的であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に基づいて順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
対象となる薬剤を[11C]PIB、[11C]PK11195 とし、初年度の18F-標識薬剤の研究計画と同様に実施する。11C-標識化合物の場合、その短半減期核種11Cゆえに製剤化は迅速に実施される必要があり、この点を重視してSPE工程の最適化を行う。また、18F標識体とは異なる実用時間(60分)を設定して安定性、溶解性の試験を実施する。また、新たな計画として、[11C]ヨウ化メチルを標識前駆体とする迅速、簡便なオンカラム法の合成条件を最適化し、イオン交換カートリッジを用いた固相抽出法による製剤化を試みる。最終的にエタノール含有製剤の安全な投与方法を含む臨床応用に対する問題点を明らかにし、本研究から得られた知見と当センターでの臨床実績、および識者の意見を集約してエタノール含有PET 製剤の投与指針を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を効率的に実施する目的で、製剤化装置の製作をする予定であったが、製作部品の入手が順調に進展しなかったため繰越額が生じた。 装置の製作を次年度の早期の段階に完了し、研究計画を確実に遂行する。
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