研究課題/領域番号 |
25461847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
堀 正明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40334867)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | QSI / DKI / 脊髄MRI / 拡散定量値 |
研究概要 |
実際に取得した変形性脊髄症の患者より得られたMRIデータを,脊髄白質,灰白質に分離し,その拡散定量値を非ガウス分布解析により行い比較した結果を英文誌(査読あり)にて,発表した.「Cervical spondylosis: Evaluation of microstructural changes in spinal cord white matter and gray matter by diffusional kurtosis imaging.Hori M et al. Magn Reson Imaging. 2014 Jan 31. pii: S0730-725X(14)00022-8. doi:10.1016/j.mri.2014.01.018. [Epub ahead of print]」本検討において,脊髄白質においては,白質線維を追跡するトラクトグラフィーという手法を用いて評価した.また,近傍の灰白質は手動による関心領域の設定による評価であった.従来の報告では,脊髄白質,灰白質に分離した手法は少なく,かつ非ガウス分布解析によるものは世界的にもほとんどないものである. さらに,上記とはやや異なる撮像手法として,高いb値を複数用いた拡散MRIの撮像方法であるq-space imagingのデータを2つのコンポーネントを軸索内,軸索外の2つに仮定し,分離してそれぞれのデータの水分子の根二乗平均変位を測定する方法を検討した.また,実際の患者数名にてデータを取得し,生体における脊髄内軸索径の測定を行った.現状では,その正確さに若干不定な部分が残りうるものの,ある程度信頼に足る結果が得られたので,その結果は2014年の国際磁気共鳴医学会大会において演題として採択され,発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状において,解析手法に関しては,大きな問題は生じていない.将来的には,脳の解析で用いられているような,より定量的かつ一般的な手法(標準化されたテンプレート等の使用)も考慮する必要がある. 撮像方法の検討に関しては,撮像条件における数値の検討や撮像オプションの有用性の検討はいまだ必要であるものの,現状でも拡散定量値を測定可能なレベルにはあると考える. 臨床データに関しては,様々なバリエーションを持ったデータ(異なる疾患におけるデータ,例として脊髄,脊椎腫瘍性病変,脊椎脱髄,変性代謝疾患等)が存在することが,本研究における解析手法の有用性の確立に必要な条件であり,現時点では十分なものであるとは言い難い.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,現状のMRIでの撮像データの収集をさらに進行し,特に臨床面での本研究での有用性を確立すべく研究を継続していく. 解析に関しては,現状の手法のみならず,他の臓器(特に脳)で用いられている解析手法で応用可能なものはないかの検討を行う 臨床データの収集に関し,現状の研究施設のみでは最終的に十分でない可能性もあり,他施設との共同研究あるいはデータの共有も検討する.特に正常ボランティアのデータであっても,脊髄は加齢とともに内部の拡散計算値が変化していくことが知られており,ある程度の人数のデータが必要となると予想される.
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次年度の研究費の使用計画 |
予想より正常ボランティアおよび脊髄・脊椎疾患が疑われる患者群における,MRI撮像によるデータ収集が進行しなかったため,そのデータを保存,運用するためのシステムの構築に関わる費用が,当初の予想より低かったことが理由の1つとして挙げられる. また,解析した結果およびそこから得られた成果の発表,および本研究に関連した最新の情報交換のための国内・国外での学会,研究会への参加に関し,必要とする経費を最小限に抑える努力をした結果,若干当初の予想より費用がかからなかったものと思われる. 今後,まずは正常ボランティアの脊髄・脊椎撮像による,正常構造の本手法によるマッピングを行う.このため,データ収集のためのボランティアや,解析補助員のための謝金が必要である.さらに脊髄・脊椎疾患が疑われる患者群における,試験的撮像を継続して行うが,そのデータに関して個人情報を保全しつつ保存,運用するためのシステムに関わる費用(記憶媒体他)が必要である.さらに加えて,その後のデータの解析に関して,研究の進行に応じて付加する解析用ソフトウエアの費用,また,解析補助員のための謝金が必要であると考える. また,解析した結果およびそこから得られた成果の発表,および本研究に関連した最新の情報交換のための国内・国外での学会,研究会への参加も予定している.
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