研究課題
近年注目されている新しい拡散解析手法であるNeurite Orientation Dispersion and Density Imaging(NODDI)を本研究に応用するための基礎的検討として、生体における頚髄での撮像条件のうち、臨床応用に必須な技術であるmulti-band echo-planar imaging (MB-EPI)の条件とその変化に伴うNODDIの定量値の変化に関する検討を行い、その結果を2016年5月の国際磁気共鳴医学会大会にて発表を行った。その他、本研究における重要なMRIの撮像手法および解析手法である、非ガウス分布拡散解析の手法に関して、現状における技術的側面、臨床応用の実際および将来の展望(例、撮像時間を短縮するようなMB-EPIなどの技術)に関して、2015年6月にAdvanced CT MRI研究会にて招待講演を行った。総じて、解析手法は当初の予想より多岐にわたり、NODDIのような解析手法も脊髄で臨床的に使用可能となり、それらの撮像、解析の完全なる至適化は終了していないものの、得られたデータの解析そのものは順調に遂行された。ただし、得られたサンプル数の問題もあり、他の部位の解析で使用されているような、画像統計解析のための指標となるような、標準的なテンプレートの作成には現時点では至っていない。また、MRIでの撮像手法としても、当初は想定していなかったmulti-band EPIのようなより高度の新技術の導入が可能となったことで、より高速かつ効率よくデータ収集が可能となったが、そのような新しい技術の使用を前提とした脊椎脊髄拡散MRIの撮像条件の若干の修正を検討する必要性が生じている。また、本研究を通じての総合的な判断として、拡散の定量値のみによる脊髄脊椎疾患の評価には限界があり、今後はマルチモーダルMRIによる評価が望ましいと考えられる。
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