研究課題/領域番号 |
25461849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福山 直人 東海大学, 医学部, 准教授 (50349338)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 微小血管造影法 |
研究概要 |
本研究の目的は、脳梗塞や急性心筋梗塞などの基礎疾患となる動脈硬化の超早期病変である微小血管における血管内皮細胞障害の早期検出法を開発することである。そのために、微小細動脈における血管内皮細胞障害の可視化を微小血管造影法を用いて行う。ラット後肢における直径100μmの微小細動脈を可視化し、アセチルコリンに対する奇異性血管反応の描出が可能であること、奇異性血管収縮反応が動脈硬化のバイオマーカーよりも鋭敏な指標となること、微小細動脈の閉塞や血管内皮細胞障害が冠動脈や中大脳動脈の閉塞や狭窄、腎臓の糸球体障害に先行し生じること、を示そうとしている。 本研究では、動物実験モデルとして2型糖尿病モデルであるOLETF(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty)ラットとそのコントロールラットであるLETO(Otsuka Long-Evans Tokushima)ラットを用いて検討を行った。 本研究で行った微小血管造影法では、直径30μm の微小細動脈を動画にて可視化することが可能であった。コントロールラットではアセチルコリンによる血管拡張反応が可視化され、糖尿病ラットでは、一見血管が拡張しているような微小細動脈においても、奇異性血管収縮反応が生じることを確認することができた。また、すでに報告されている動脈硬化のバイオマーカーである血液中高感度CRP値 やIL-6値と比較しても、奇異性血管収縮反応は、それらの末梢血液中における上昇よりも先んじて出現することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね予定通りに研究を行うことができたが、血管内皮細胞障害が冠動脈や中大脳動脈の閉塞に先行することの証明が、十分な動物数を用いて検討できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
奇異性血管収縮反応が冠動脈や中大脳動脈の閉塞や狭窄、腎臓の糸球体障害に先行することの証明:微小細動脈における血管内皮細胞障害が冠動脈や中大脳動脈の閉塞や狭窄、腎臓の糸球体障害に先行して生じる事を証明するために16週齢及び32週齢のラットを用いてランゲンドルフ法を用いて、心臓及び腎臓の微小血管を描出し、狭窄や閉塞の有無を確認する。また、中大脳動脈の微小血管造影を行う。微小細動脈における血管内皮細胞障害は16週齢で認められるため、冠動脈や中大脳動脈の狭窄や閉塞、腎臓の糸球体の大小不同などが16週齢で認められず、32週齢で認められた場合には、奇異性血管収縮反応が冠動脈や中大脳動脈の閉塞や狭窄、腎臓の糸球体障害に先行することの証明となる。血管造影後には採血を行い、併せて大脳、心臓や腎臓などを摘出し、病理学的にも臓器障害の検討を行う。 奇異性血管収縮反応がバイオマーカーより鋭敏な指標となることの証明:4週齢及び微小血管造影を施行する16週齢と32週齢に、CBC(全血球検査)と血糖値、クレアチニンやCKなどの血液生化学的検査に加え、動脈硬化のバイオマーカーである高感度CRPやIL-6などや血管内皮細胞障害マーカーとして報告されているカドヘリン陽性血管内皮細胞由来微小粒子(CD144-EMP)、トロンボモジュリン、フォン・ウィルブランド因子(von Willebrand factor,vWF)、などを測定し、奇異性血管収縮反応が各種バイオマーカーより早期に動脈硬化性病変を検出できることを明らかにする。 上記従来の研究計画に加え、血管内皮細胞障害が冠動脈や中大脳動脈の閉塞に先行することの証明も追加して研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
血管内皮細胞障害が冠動脈や中大脳動脈の閉塞に先行することの証明が、十分な動物数を用いて検討できなかったため。 実験動物代となる消耗品代やその他に加え、十分な動物数をこなすため補助となる人件費代を追加して計上する。
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