研究課題
本研究の目的は、心臓 MRIを用いて心症状を有さない段階のRA患者における心臓病変の頻度と程度を明らかにするとともに、生物学的製剤による心臓病変に対する治療効果を明らかにすることである。心症状のない関節リウマチ(RA)患者60症例に関して検討したところ、LGEが19 例 (32%)、T2-WIにおける高信号が7例 (12%)に認められた。LGEの有無に関して、関節腫脹 (OR=1.87; p=0.008)、 log unit higher C-reactive protein (CRP) (OR=3.36; p=0.047)、及び、log unit higher NT-proBNP (OR=20.61; p=0.009)が有意に関連した。NT-proBNPはT2-WIで高信号域が存在する群で、T2-WIでの高信号やLGEがない群と比較して有意に高値であった。同様に、LVMIは、T2-WIで高信号を示す群で有意な高値を示したが、EFの有意な低下は認めなかった。心症状のない13名のRA患者においては、生物学的製剤(tocilizumab: TCZ)による治療前ではDAS-28とSDAIが高値を示したが、治療後に有意に改善した。シネMRIによる局所心機能(Mean peak Er)が治療前では低下していたが、治療後には改善傾向にあった(p=0.028)。さらに、LGEを認める群ではLGEを認めない群と比較してQTC intervalが有意に延長していた(p=0.001)が、生物学的製剤による治療により有意に改善した(p = 0.001)。本研究により、心症状を示していない本邦のRA患者における心臓病変の真の頻度が明らかとなり、さらに生物学的製剤により心臓病変が改善する可能性が示された。
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Arthritis Care Res
巻: [Epub ahead of print] ページ: ー
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