研究課題
大うつ病性障害(Major Depressive Disorder: MDD)の診断基準を満たす患者、および年齢性別がマッチした健常対照群を対象とし、MDD患者に対して、①臨床検査:ハミルトンうつ病評価尺度、Wisconsin Card Sorting TestとIowa Gambling Task、②頭部MRI検査:3次元高分解能T1強調像、拡散テンソル画像など、③血液検査:COMT遺伝子多型とNAT遺伝子多型の検査、およびMHPGとHVAの血中濃度測定を行った。健常群については検査②と③を行なった。DARTELおよび SPM8を用いて、脳容積に関するデータ処理および解析を行ったところ、COMT遺伝子多型の検討では、Valine/ Methionine型(Met carrier群)において、健常群に比し、患者群において両尾状核の体積が有意に小さかった。一方、Valine/ Valine型(Val/Val群)のCOMT遺伝子多型においては、健常群と患者群間で差は見られなかった。NETのT-182C遺伝子多型では、いずれの項目においても有意な関連を認めなかったが、G1287A多型において有意な関連が見られた。すなわちG1287A遺伝子のG/G型では、G/A型やA/A型に比べ、左のprefrontal cortexの容積減少の程度が、健常群よりも患者群において有意に大きかった。これらの所見が、MDD患者の症状に関連している可能性が示唆された。さらに、Oxford大学グループによって開発されたTBSSというFractional Anisotropy(FA)画像の解析手法を用いて、脳形態の違いについて群間比較した。その結果、脳内の数か所において、患者群で健常群よりも優位にFA値が低く、かつコルチゾールレベルと逆相関しているという結果が得られた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PLoS One
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