研究実績の概要 |
本研究では、がんの内用放射線治療に有望なLu-177の製造法の開発を進めているが、今後の大規模な動物実験の実施や前臨床試験などに対応するため、Lu-177の製造量を上げる必要があり、更なるターゲット量の増加に対応可能な新規の分離技術の検討が必要である。そこで、本研究課題では、溶媒抽出分離法を用いた粗分離法を検討する。 希土類元素のHDEHPによる溶媒抽出挙動は明らかにされており、Lahiriら(“Separation of Carrier Free Lutetium Produced in Proton Activated Ytterbium with HDEHP”, Appl. Radiat. Isot., 49 (1998) 911-913.)は、塩酸-HDEHP抽出系におけるYbおよびLuの抽出率を調べ、Yb-Luの分離は1 M HCl系が最もよいことを報告している。そこで、塩酸-HDEHP抽出系を用い、1 M HCl付近を重点的に検討する。 本年度は、有機相としてシクロヘキサンを溶媒としたHDEHP溶液を用い、水相として、Yb担体および177Luトレーサーを含んだ塩酸溶液を用い、HDEHPの濃度を変化させて、有機相と水相とを攪拌した後、それぞれの相のLuの放射能量を測定しLuの抽出率を求めた。結果として、HDEHPの濃度が増加するに従いLuの抽出率は増加することが分かった。
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