研究課題
基盤研究(C)
ドーパミン作動性神経系の前シナプス機能であるドーパミン生成能、ドーパミントランスポーター結合能と黒質のニューロメラニン分布密度の相互関係を明らかにするべく、健常者を対象にPET検査とMRI検査を行った。20才代の健常者11名を対象に、トレーサーとして[11C]DOPA、[18F]FEPE2Iを用いてそれぞれ89分間および90分間のダイナミックPET測定を行った。関心領域をトレーサーの特異的結合のみられない参照部位(後頭葉、小脳)に設定し、得られた時間放射能濃度曲線からコンパートメントモデル解析によりドーパミン生成能、ドーパミントランスポーター結合能を画素毎に計算した。MRI検査では、T1強調画像、T2強調画像の撮像に引き続きニューロメラニン強調画像を撮像し、上小脳脚交差部を参照領域としてニューロメラニンの分布密度指標を画素毎に計算した。得られたPETおよびMRIのパラメトリック画像を解剖学的に標準化しデータベース化した。構築した画像データベースにより、ニューロメラニンの解剖学的分布とドーパミン生成能およびドーパミントランスポーターの分布との間には違いがあることが明らかとなった。ニューロメラニンはドーパミンおよびその前駆物質であるDOPAの貯蔵に関連する指標であるが、黒質におけるニューロメラニン分布密度指標とドーパミン生成能との間には有意な相関はみられなかった。また、黒質におけるドーパミントランスポーターはドーパミンを神経細胞内に輸送する役割を有するが、黒質におけるニューロメラニン分布密度指標とドーパミントランスポーター結合能との間にも有意な相関はみられなかった。健常者における個人間の変動においては、黒質におけるニューロメラニン分布密度指標とドーパミン生成能およびドーパミントランスポーター結合との間には関連がないことが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度はほぼ計画通りに研究が進展した。
平成25年度の研究成果を元に、計画通りに平成26年度以降の研究を遂行する。
研究の進捗に合わせ、データストレージ類を次年度に購入するため。平成26年度の研究において比較的容量の大きい画像データが発生することが予測されるため、平成26年度にデータストレージ類を購入する。
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