研究課題
ドーパミン作動性神経系の後シナプス機能であるドーパミンD2レセプター結合能と黒質のニューロメラニン分布密度の相互関係を明らかにするべく、健常者を対象にPET検査とMRI検査を行った。21-39才の健常者10名を対象に、トレーサーとして[11C]FLB457を用いて90分間のダイナミックPET測定を行った。関心領域をトレーサーの特異的結合のみられない参照部位(小脳)に設定し、得られた時間放射能濃度曲線からコンパートメントモデル解析によりドーパミンD2レセプター結合能を画素毎に計算した。MRI検査では、T1強調画像、T2強調画像の撮像に引き続きニューロメラニン強調画像を撮像し、上小脳脚交差部を参照領域としてニューロメラニンの分布密度指標を画素毎に計算した。得られたPETおよびMRIのパラメトリック画像を解剖学的に標準化しデータベース化した。構築した画像データベースにより、ニューロメラニンの解剖学的分布とドーパミンD2レセプターの分布との間には違いがあることが明らかとなった。黒質におけるニューロメラニンの分布密度指標とドーパミンD2レセプター結合能の間には有意ではない中程度の正の相関がみられた。ニューロメラニンの分布密度指標とドーパミンD2レセプター結合能の相関の理由の一つとして、黒質におけるドーパミン作動性神経の神経細胞数の個人差が考えられた。また、ニューロメラニンはドーパミンおよびその前駆物質であるDOPAの貯蔵に関連する指標であるが、ドーパミンD2レセプターの発現量が多いほどフィードバックによるドーパミン作動性神経の神経活動の抑制が強く、細胞内のドーパミン量が過剰になりニューロメラニン濃度が高くなっている可能性も考えられた。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度はほぼ計画通りに研究が進展した。
平成25年度および平成26年度の研究成果を元に、計画通りに平成27年度の研究を遂行する。
画像処理や解析などの進捗に合わせ、データストレージ類を次年度に購入するため。
平成27年度の研究において、各種の画像処理の試行に伴い大容量の画像データが発生することが予測されるため、平成27年度にデータストレージ類を購入する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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