研究課題/領域番号 |
25461863
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
吉井 幸恵 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (10397242)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PET / 三次元培養 / 治療薬選択 / 治療モニタリング |
研究概要 |
これまでのがん化学療法においては、患者に最適な治療薬を治療前に知ることは難しく、画一的ながん治療薬選択・治療計画の策定が行われてきた。一方、申請者は最近、生体内腫瘍の特徴を忠実に再現する新規三次元がん細胞培養法を研究開発し(吉井らBiomaterials 2011, プレス発表)、本法を用いて抗がん剤スクリーニングを行うことにより、生体内で実際に治療効果の高い薬剤を予測できることを明らかにしている。さらに、本法はモニタリング診断用PETプローブの選択にも応用が可能であると期待できる。そこで本研究では、三次元がん細胞培養法を応用したがん個別の最適治療薬・PETモニタリング診断薬を選定する新規スクリーニング系の開発を目的として検討を進めている。 本年度は、複数のヒト由来がん細胞(HT29, HCT116)を用い、ナノプリント三次元がん細胞培養を行い、実際にがん治療薬スクリーニングを施行し、解析を行った。本研究では、がん治療薬スクリーニングとして、SCADS阻害剤キット(約300種類の抗がん剤・分子標的薬からなる化合物ライブラリー、「化学療法基盤情報支援班(文部科学省がん特定領域研究)」提供)を用いた。その結果、各細胞に対するの有効治療薬剤を選定できた。また、代表的なPETプローブの3H・14C 標識体からなるPETモニタリング診断薬選定用キットを作成した。具体的には、本キットには、FDG、FLT、酢酸、メチオニン、4DSTといった代表的なPETプローブの3H・14C 標識体を使用した。これにより、三次元培養によるモニタリング診断用PETプローブの選択における基盤技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたナノプリント三次元がん細胞培養法を用いた薬剤スクリーニングによる有効ながん治療薬の選定並びに最適PETモニタリング診断薬の選定のためのキット構築が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度作成したPETモニタリング診断薬選定用キットを用い、代表的な三次元スフェロイドに対し、得られた有効治療薬剤の治療効果をよく反映するプローブを選定する。具体的には、薬剤を投与した群と投与しないコントロール群を作成し、これに対し、PETモニタリング診断薬選定用キットを適用し、薬剤投与群・未投与コントロール群それぞれに対するPETプローブ3H・14C 標識体の取り込みを測定する。これにより、有効治療薬剤に対する最適な治療効果判定用PETプローブを選定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、細胞培養・実験補助のため人件費を計上していたが、大学院生等の協力が得られたため支出せず、その分を細胞培養器具・キット作成のための試薬購入に充当した。また、残額については翌年度繰り越した。 翌年度繰越額については、細胞実験等(プローブスクリーニング・三次元培養用器具)に必要となる試薬の購入にあてるよう計画している。
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