研究課題
これまでのがん化学療法においては、患者に最適な治療薬を治療前に知ることは難しく、画一的ながん治療薬選択・治療計画の策定が行われてきた。一方、申請者は最近、生体内腫瘍の特徴を忠実に再現する新規三次元がん細胞培養法を研究開発し(吉井らBiomaterials 2011, プレス発表)、本法を用いて抗がん剤スクリーニングを行うことにより、生体内で実際に治療効果の高い薬剤を予測できることを明らかにしている。さらに、本法はモニタリング診断用PETプローブの選択にも応用が可能であると期待できる。そこで本研究では、三次元がん細胞培養法を応用したがん個別の最適治療薬・PETモニタリング診断薬を選定する新規スクリーニング系の開発を目標に研究を進めている。昨年度までに、がん細胞株を使用した薬剤スクリーニングを行い、候補薬剤を選定した。また、代表的なPETプローブからなるPETプローブ選定用キットを開発した。本年度は、がん細胞株を用いた三次元培養により、実際にPETプローブの選定を行った。治療薬剤には、上記スクリーニングで選定された治療薬を用いた。その結果、至適PETプローブを選択した他、本キットを用いたPETプローブ選定プロトコルを確立した。また、担がんマウスを用いた検討についても行った。具体的には、薬剤スクリーニングで選定された治療薬剤を投与し、治療を行った後、各PETプローブを用い、治療後早期のPET像を得た。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた、PETプローブ選定キットのプロトコルを確立することができたため。
追加解析を行い、PETプローブ選定キットの有用性につき検証する。具体的には、担がんマウスを用いたPETイメージング解析を行う。この結果を、PETプローブ選定キットを用いたin vitroの結果と比較し、本法の有用性を検証する。また、三次元培養を用いた応用の可能性について探索する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Biomaterials
巻: 51 ページ: 278-289
10.1016/j.biomaterials.2015.02.008