研究課題/領域番号 |
25461864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
山口 雅之 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, ユニット長 (90450577)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 画像診断学 / MRI / 機械学習 / がん分子標的治療 / 効果判定 / 橋渡し研究 |
研究概要 |
がん動物モデルのMRI計測および、「カルタ」を利用したMRIの自動分類ソフトウェアの初期開発を行った。 ラット肝腫瘍の生着や、焼灼治療後の腫瘍の変化を、研究専用の3-Tesla MRI と独自開発の16 チャンネルマルチアレイコイルを使い、経時的に観察した。肝臓腫瘍ラットの上腹部T2 強調、拡散強調MRIを、PROPELLER 法を用いて呼吸運動によるアーチファクトを抑制しながら、4匹同時に撮影した。1匹当たり約15分程度の検査時間で、従来の約4倍効率良いデータ取得が可能であった。この撮影技術を利用することにより、二年次以降に予定している、分子標的薬治療後の肝腫瘍や腎腫瘍の観察を、効率良く研究を実施できると考えられた。 3-Tesla 装置で取得した動物臓器のMRIデータを、「カルタ」を使って、抗がん剤投与による障害が強い群、弱い群、正常群の三群に分類するソフトウェアを開発した。分類精度は84%であり、画像診断医による視覚的な分類精度65%を大きく上回った。組織中を還流する血管の陰影によって、分類精度が低下しないよう、機械学習に使用する画像特徴量の選択を最適化した。今回開発に成功したソフトウェアは、MRIによる分子標的薬の効果判定に応用可能と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝がん動物モデルのMRI撮影や、「カルタ」を利用したMRI自動分類ソフトウェアの開発は概ね順調に進展した。しかし、分子標的薬ソラフェニブに治療効果のある癌細胞株を使った肝がん動物の作製に成功していない。
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今後の研究の推進方策 |
分子標的薬に反応する同所移植癌動物モデル作製に精力的に取り組む。当面、当初計画通り、ソラフェニブに反応する肝癌、腎癌モデル作製を目指す。計画通りに進まない場合は、今年末を目途に、別の分子標的薬に反応する移植癌モデルに代替すべきか、判断する。 同時に、肝臓がん患者のソラフェニブ投与前後の画像(CTやMRI)をretrospectiveに収集し、「カルタ」を使った自動分類に取り組む。当初、最初に動物モデルのMRIを入力してソフトウェアを開発し、次にヒト臨床CTやMRIの分類用に改良する予定であったが、動物用とヒト用のソフトウェアを同時に開発し、それぞれ機械学習に使用した画像特徴量を比較しながら、両者の関連性を調査するなどし、動物用からヒト用へのトランスレーションが可能か検討する方策を採る。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像解析に使用予定のワークステーションの購入を先送りしたため。また、国際学会における成果発表を見送ったため。 画像データが大量に蓄積し、高速処理による解析が必要となる本年度後半までに、ワークステーション(但し50万円未満)を購入する。 また、国内、国外の学会にて成果発表を行う計画である。
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