研究課題/領域番号 |
25461867
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
圓見 純一郎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (80393205)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / プラーク / WHHLMI / 画像診断 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、動脈硬化モデル動物であるWHHLMIウサギの病態特性をMRIを用いてより詳細に明らかにすることである。 前年度までに、ウサギのMRI撮像に必要なハードウェア環境を整備した。小動物用7T MRI装置において専用のRFコイルを作製し、ウサギの心臓および脳の疾患の病態評価を行うのに十分な信号対雑音比が得られることを確認した。 本年度は、撮像シーケンスに関する検討を行った。ヒトにおいてシネMRIは心機能評価に広く使用されており、WHHLMIウサギの心筋梗塞の病態評価に有効だと考えられる。ただし、息止めまたは呼吸同期、およびECG同期を用いて撮像を行う必要があり、ECG電極などのセンサーの取り付けが煩雑で手間がかかる。さらに、重度の心筋梗塞の場合にはECG同期を正確に行えない場合がある。また、息止めが被検体にとって負担になる場合もある。そこで、同期や息止めを一切行わずに撮像を行い、後処理でシネ画像を再構成する方法(IntraGate法)が最近提案された。その妥当性を検討したところ、ECG同期および呼吸同期を用いた従来法と比べて遜色ない画像が得られることが確認できた。動脈硬化がまだあまり進行していない若齢期から高齢期に至るまでの間、本法を用いて経時的に心機能を測定することにより、WHHLMIウサギの心筋梗塞の病態がより詳細に明らかになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は、専用のRFコイルの作製、および撮像シーケンスの最適化を行う予定であった。しかし、ウサギの体に密着し、かつウサギの体やMRI装置の各部品との干渉が無く、操作を支障なく行うことが出来て、かつウサギへの負担も少ないRFコイルのデザインを決定するのに予想以上に時間がかかり、RFコイルの完成が遅れたため、撮像シーケンスの最適化を行うことが出来なかった。 本年度は、撮像シーケンスの最適化を行い、WHHLMIウサギの病態評価を開始する予定であった。しかし、新規のシネMRI撮像法であるIntraGate法の撮像シーケンスをウサギ用に最適化すること、IntraGate法の妥当性評価の際にgold standardとして用いた従来法においてECGを安定して測定することができる手技を習得することに予想以上に時間がかかり、IntraGate法の妥当性評価が遅れたため、病態評価実験を開始することができなかった。 以上の理由により、研究の進捗が予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、脳の撮像シーケンスの最適化を行う。T1およびT2強調画像、MR angiography(MRA)、拡散強調画像、arterial spin labeling(ASL)による脳血流画像などについて最適化を行う。さらに、血管の動脈硬化巣に関して、T1強調画像およびT1定量画像の撮像シーケンスの最適化を行う予定である。その後、WHHLMIウサギの病態の経過観察を開始する。動脈硬化があまり進行していない6月齢頃の若齢期からフォローアップを開始し、1ヵ月毎に30月齢頃までMRI検査を繰り返し行う。フォローアップ途中の死亡時、またはフォローアップ終了時に解剖し、病理組織解析を行い、MRI画像との比較を行う。3-6匹程度のフォローアップを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI装置とその周辺機器の故障が予想よりも少なかったこと、WHHLMIウサギの無償提供を受けたことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に必要な消耗品および動物の購入、学会出張の旅費、英文論文校正などに使用する予定である。
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