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2013 年度 実施状況報告書

11C-標識プローブの実用的なマイクロリアクター合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25461870
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東北大学

研究代表者

石川 洋一  東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (60361200)

研究分担者 岩田 錬  東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (60143038)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードマイクロリアクター合成 / 分子イメージング / PET / 分子プローブ / 自動合成 / methyl triflate / Radiosynthesis / PET probe
研究概要

マイクロリアクター合成装置によりマイクロフローセル内で標識薬剤合成を実現することを本研究は目的にしている。初年度では、以下の1-2の課題について研究を進め、次年度につながる成果を得た。
1.[11C]メチルトリフレート(11CH3OTf)冷却捕集と脱着条件の最適化: [11C]ヨウ化メチル(11CH3I)から合成される[11C]メチルトリフレートの冷却捕集材料として熱伝導率が高い銅と腐食に強いステンレスを主に用い、捕集時の[11C]メチルトリフレートガスの流速、冷却捕集温度、脱着温度、捕集面積の各パラメータに関して最適化を行い、[11C]メチルトリフレートを捕集効率99%で捕集し、無水アセトンによる脱着で、[11C]メチルトリフレートを濃縮・回収することに成功した。
2.冷却捕集システムの試作: 液体窒素などの冷却材を用いず、電流により冷却・加熱、両方の温度制御を自由に行える半導体素子の一種であるペルチェ素子を使用した捕集装置を設計し、システムの簡素化・小型化の観点から 空冷排熱式のペルチェモジュールを組み込んだシステムを試作した。また、合成中の高放射線の被曝を避け、鉛遮蔽のホットセル内での合成を遠隔操作で行うための専用インターフェイスとナショナルインスツルメンツ(NI)のLabViewシステム開発ソフトウエアを使用し、データの可視化や入力のためのグラフィカルなユーザインタフェースの制御プログラムを開発した。
以上の結果から、次年度では捕集システムの自動化とマイクロリアクターで[11C]-標識反応を試みることが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

[11C]メチルトリフレート(11CH3OTf)冷却捕集が出来るものの、11Cの物理的半減期は20分と短く、[11C]メチルトリフレートの捕集・濃縮処理のさらなる効率化と迅速化を図る必要がある。当初計画していた合成実験装置の冷却濃縮性能仕様の一部を変更し、捕集濃縮時の冷却モジュールを工夫することで捕集性能を上げ、回収効率を犠牲にすることなく濃縮装置を自動化し、目標とする回収率の向上を目指す。
また、本研究施設での粒子線加速器の運転経費削減による使用制限により、今年度の基礎実験が十分に出来ず一部実験を延期した。

今後の研究の推進方策

1.冷却捕集装置の改良および自動化:ペルチェ冷却モジュールを使用した多段冷却捕集装置を設計し、初段冷却で凝固点付近まで冷却し、次段の冷却部で凍結捕集することで、高効率なマイクロ容量の回収を達成する。
2.濃縮回収用のシリンジポンプシステムの試作および自動化:[11C]メチルトリフレートの回収溶媒などを流すためのシリンジポンプ-バルブモジュールを組み込んだシステムを試作する。専用インターフェイスとLabViewによる制御プログラムを開発し、PCで全自動的に捕集と脱着を行う。
3.マイクロリアクター合成条件の検討とシステムの構築:開発した濃縮装置を使用して反応チップによるマイクロリアクター合成を種々の条件下で行う。ルーチンに合成される[11C]ラクロプライドと[11C]ドキセピンを使用して、種々の固相抽出カラムからの溶出パターンを調べ精製法開発の基礎データを集める。この、固相抽出カラムの組み合わせから最適な精製法を見出し、目標である11C-標識プローブの実用的なマイクロリアクターシステムを完成させ、その実用性を示す。分離精製法を含めたトータルなシステムの構築を図る。
4.研究が当初計画どおりに進まない時の対応として、本研究の開発項目の中で最も困難と思われるのは固相抽出カラムによる精製である。11C-標識プローブと前駆体の性質があまりに近いため、固相抽出カラムでは十分な分離が得られない可能性がある。この場合、HPLCでの精製を導入する。マイクロリアクター合成により試料量を大幅に減らすことができるため、通常使用するセミ分取カラムではなく、分析カラムで十分対応でき、少なくとも迅速な分離精製は実現できる。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、当初計画していた合成実験装置の動作性能仕様の一部を変更したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
冷却モジュールを使用した多段冷却捕集装置と、濃縮回収用のシリンジポンプシステムの試作および自動化を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis and preliminary evaluation of 2-arylhydroxyquinoline derivatives for tau imaging.2014

    • 著者名/発表者名
      Tago T, Furumoto S, Okamura N, Harada R, Ishikawa Y, Arai H, Yanai K, Iwata R, Kudo Y.
    • 雑誌名

      J Labelled Comp Radiopharm.

      巻: 57(1) ページ: 18-24

    • DOI

      10.1002/jlcr.3133

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A 18F-labeled BF-227 derivative as a potential radioligand for imaging dense amyloid plaques by positron emission tomography.2013

    • 著者名/発表者名
      Furumoto S, Okamura N, Furukawa K, Tashiro M, Ishikawa Y, Sugi K, Tomita N, Waragai M, Harada R, Tago T, Iwata R, Yanai K, Arai H, Kudo Y.
    • 雑誌名

      Mol Imaging Biol.

      巻: 15(4) ページ: 497-506

    • DOI

      10.1007/s11307-012-0608-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vitro and in vivo characterization of 2-deoxy-2-18F-fluoro-D-mannose as a tumor-imaging agent for PET.2013

    • 著者名/発表者名
      Furumoto S, Shinbo R, Iwata R, Ishikawa Y, Yanai K, Yoshioka T, Fukuda H.
    • 雑誌名

      J Nucl Med.

      巻: 54(8) ページ: 1354-61

    • DOI

      10.2967/jnumed.112.113571

    • 査読あり
  • [学会発表] PET 用タウイメージング剤[18F]THK-5105 のエナンチオマー体の合成と評価

    • 著者名/発表者名
      多胡哲郎,古本祥三,岡村信行,原田龍一,石川洋一,谷内一彦,工藤幸司,岩田錬
    • 学会等名
      第53回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] [11C] メチオニンのオンカラム合成法と固相抽出法による製剤化の検討

    • 著者名/発表者名
      寺崎一典,石川洋一,小豆島正典,世良 耕一郎,岩田錬
    • 学会等名
      第53回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 18F 標識- トリフェニルホスホニウム誘導体の合成と評価

    • 著者名/発表者名
      冨永隆裕,古本祥三,伊東弘晃,石川洋一,谷内一彦,岩田錬
    • 学会等名
      第53回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 3次元トラッキング装置を用いた脳PET検査の体動補正システムの開発

    • 著者名/発表者名
      水田哲郎、橘一成、大谷篤、田中和巳、四月朔日聖一、渡部浩司、石川洋一、平岡宏太良、田代学、谷内一彦
    • 学会等名
      第53回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 3次元トラッキング装置を用いた脳PET検査の体動補正システムの評価

    • 著者名/発表者名
      四月朔日聖一、田代学、渡部浩司、石川洋一、平岡宏太良、谷内一彦、水田哲郎、佐藤友彦
    • 学会等名
      第53回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      福岡
  • [備考] 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター核薬学研究部ホームページ

    • URL

      http://www.cyric.tohoku.ac.jp/kenkyu/yakugaku.html

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公開日: 2015-05-28  

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