研究課題
インターベンショナルラジオロジーの手法を用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)導入は、腫瘍などの標的部位に効率的に高濃度の抗癌剤等薬剤の到達を可能とする。この種の研究は最も注目されている先端医療分野のひとつである。肝細胞癌のような多血性の腫瘍は新生血管が豊富であり経動脈的に治療薬を導入することにより非腫瘍部と腫瘍部の治療薬の分布に大きな格差を生じさせることは可能である。また、抗癌剤を通常使用する濃度よりも高濃度化することで効率的な治療が可能であると考えられ、従来の油性造影剤に混和させることやDDSとしての球状塞栓物質よりも効率的に抗癌剤を腫瘍に集中させるシステムを構築することを目標にしている。本研究では、家兎に対して複数回の血管造影手技に耐えうるような経大腿動脈的な造影手技を確立した。本手技はを要するものの、標的臓器へカテーテルを導入し、選択的造影やDDS導入を行うことが可能となった。さらに、細径のマイクロカテーテルを用いれば、血管損傷をおこすことなく標的動脈の選択を行う事ができ、DDS注入やその後の評価のための複数回の血管造影が可能であった。DDSとしての鉄ミセルへの抗癌剤吸着し肝動脈からの注入を行い得たものの、球状塞栓物質によるいわゆる塞栓術(DEB-TACE:薬剤溶出性ビーズによる塞栓術)に比して効率的に薬剤導入できたという結果にはたどり着けなかった。末梢到達性についてはDEB-TACEは粒子の大きさに縛られてミセル構造を持つようなDDSほどの成果が得られないと思われる結果が示された。しかしながら、肝腫瘍モデルにおいてはある程度の結果を期待できる結果を得た。さらに、より効率的なDDS確立については、血管作動性物質等との組み合わせによりさらに効率的な治療効果が得られるような組織の変化を目指せる状況となっており、さらなる研究の礎となったと考えられる。
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