研究概要 |
1)タングステン機能紙の放射線遮蔽率:放射線診断領域で用いられている単純X線撮影装置を用いてタングステン機能紙(密度2.14g/cm3、厚さ0.3mm)の放射線遮蔽率をUnfors PSD (Unfors Instrument Incorporated)で測定した。80KvP-120KvまでのX線がタングステン機能紙一枚で50%遮蔽されることが分かった。タングステン機能紙の斑は6枚で平坦となる。2)放射線治療への応用:治療用のX線および電子線のコリメートに応用する。電子線束のコリメートを目的に,鉛や低融点鉛を遮蔽材として用いている。これらの遮蔽材は加工が困難であることや,鉛の毒性による鉛害などの問題点を抱えている。電子線に対する遮蔽特性を評価した。遮蔽による電子線の透過率は,測定深および照射野サイズに依存することが分かった.また、使用するエネルギーやTFP厚によっては高い放射線遮蔽効果が得られることが確認できた。3)放射線診断領域への応用:インターベンショナルラジオロジー(IVR)など検査・治療時の術者被曝の低減について検討を行った。散乱体(被験者)、術者との間に機能紙を1,2,3,5,10枚と挿入、被曝線量の減少率は次に示す通りであった。eyeslevel: 24.9 %, 29.9 %, 41.6 %, 50.4 %, 56.2 %; chest level: 25.3 %, 33.1%,34.9 %, 46.1 %, 44.3 %; waist level: 45.1 %, 57.0 %, 64.4 %, 70.7 %, 75.2%; knee level: 2.3 %, 3.8 %, 3.9 %, 4.6 %, 4.3 %。4)軽量化への取り組み:軽量化へ向けて理論上可能である金属やその組み合わせを特定。他の金属での機能紙を試作し、放射線遮蔽率など基礎実験を実施。
|