研究課題/領域番号 |
25461878
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊田 健太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00447971)
|
研究分担者 |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40115853)
木村 寛之 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50437240)
天滿 敬 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90378787)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 可視化 / 糖尿病 |
研究概要 |
本研究では、膵島β細胞特異的分子であるグルカゴン様ペプチド1 (以下GLP-1)受容体(以下GLP-1R)に対する特異的抗体を標識して膵β細胞量を体外から非侵襲的に定量することを目指している。 平成25年度は、複数のGLP-1ペプチド断端をウサギに感作させる方法で、GLP-1R抗体を委託合成した。その結果、2つの個体より抗体を含む血漿を分離することができた。それらを用いて、種々の条件でマウス膵臓切片を免疫染色したところ膵島が明瞭に染色されることが分かった。そこで、GLP-1R特異的かどうかを明らかにするために、GLP-1R欠損マウスより膵臓切片を作成し検討した。しかしながら、GLP-1R欠損マウスの膵島でも染色されることが判明した。非特異的結合かどうかの判断について、GLP-1R欠損マウスの由来をもとの論文で確認したところ、同マウスではC端の一部分がtruncateしたペプチドとして合成されている可能性が高いと考えられ、また、今回の抗体はtrancate部内の断片で感作して得られた者であった。従って、今回の結果は我々の抗体がGLP-1R欠損マウスの残存ペプチドの一部を認識している結果である可能性も否定できないものであり、従って、受容体選択性の評価が困難と考えた。 当初予定では、期待される結果が得られた感作動物を用いてモノクローナル抗体作製に移行し、プローブ用抗体の精製までを行う予定であったが、受容体選択性を確定できなかったため、精製を一旦延期した。また、精製ができていないため、プローブの基本性能の評価も行っていない。 なお、抗体の標識法については並行して開発をすすめ、99mTcで簡便に標識できる系を確立した。モノクローナル抗体さえ得らればすぐに標識できる条件検討をすすめている。また、腎排泄性に関する検討や、抗体の毒性を考慮した抗体の抗原認識部位を保持したままの小断片化についての検討は、まだモノクロなール抗体が得られていないため検討はしていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
得られた複数の抗体の中から、膵島が染色されることは確認したが、GLP-1受容体選択性の確認が、本来可能と考えていたGLP-1受容体欠損マウスでは限界があることが判明して、精製を中断した。ただし、新たな評価方法を構築中であり、平成26年度早々には、研究を次の段階に進められる目処が立ったため、区分は「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の予定は、①GLP-1R選択性の確認・モノクローナル抗体の精製と標識→②基本性能評価→③基礎評価→④動物実験とすすめる。 ①得られた抗体のGLP-1R選択性の評価は、すでに有して得るGLP-1プローブとの競合を、in vitroと免疫染色で確認する。GLP-1R選択性が確認できたら、即モノクロナル抗体の作成と精製を行い、RI標識する。 ②RI標識抗体プローブの基本性能評価は、GLP-1RのリガンドであるExendin(9-39)の非標識体とRI標識したExendin(9-39)を用い、競合阻害反応をみることでGLP-1R選択性と結合定数を算出して評価する。 ③基礎評価は、RI標識した抗体プローブを正常マウスに尾静注によって投与後、経時的に血液、臓器を摘出し各臓器への集積量を経時的に計測する。生体内における膵β細胞結合特性はMIP-GFPマウス(インスリンプロモータ下にGFPを発現する遺伝子改変マウス) を用いて評価する。具体的には、MIP-GFPマウスにプローブ化合物を尾静注後膵臓を摘出し切片化する。イメージアナライザーを用いて、GFP蛍光像と同時にRI標識プローブの場合はautoradiography(ARG)において両シグナルが一致するかどうか検証する。 ④動物実験は、定量性と有効性の評価を行う。定量性は、膵島移植モデルを用いる。有効性の評価は糖尿病動物モデルを用いる。具体的には、経時的に機能評価と膵β細胞量測定を行い、その際、プローブによる測定値だけでなく膵臓を摘出して病理標本を作製し、従来の免疫組織化学的評価も行う。マウスを用いるかラットを用いるかは、合成可能なプローブの量と必要投与量の関係、撮像にどちらが最適化を検証の後に決定する。以上の解析により、耐糖能の程度と膵β細胞量の相関関係についての検証を行う。
|