平成25年度より行っていた方法に改良を加え、解離腔のバルーンカテーテルによる拡張回数を調整することにより、より確実な急性期大動脈解離モデルを作成することに成功した。また慢性期まで経過観察を行い、解離性大動脈モデルを作成することが可能となった。 新たな治療方法として、急性期大動脈解離における偽腔拡大を防止するために大動脈真腔を一時的に拡張する新たな血管内デバイスを考案し、平成26年度に引き続き実験を行った。本デバイスは、大腿部から大動脈真腔内に一時的に留置し、真腔内血流を保ちながら真腔を拡張し、エントリー並びにリエントリーを通過する血流を低下させることによって偽腔の拡大を防止するものである。急性大動脈解離における血管内治療として、ステントグラフト内挿術が有効であることが確認されつつあるが、大動脈主要分枝近傍のエントリーや巨大なリエントリーを有する場合など、ステントグラフトの適応とならない症例も多く存在する。我々の考案した血管内デバイスは、真腔や分枝血流を保ちながら真腔を拡張し、偽腔拡大を予防できる可能性がある。将来的には、解離発症後数日間留置することにより、偽腔拡大に伴う分枝血流不全や偽腔破裂などの合併症を予防することを目標としている。 ブタを用いた実験データーを収集し、現在解析中で、本研究の成果は今後口演・論文発表の予定として準備中である。
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