研究課題/領域番号 |
25461880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山口 雅人 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (10457096)
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研究分担者 |
上嶋 英介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40645561)
杉本 幸司 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (90314476)
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90622027)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動脈内炭酸ガス注入 |
研究概要 |
VX2担癌ウサギモデルにおける選択的動脈内炭酸ガス溶解液注入治療の効果の検討 経血管的な注入を行うための至適血管径を有する実験動物として、ウサギが最適と考えられた。右後肢大腿筋内にVX2腫瘍を移植して3週間目のウサギを使用した。静脈麻酔下に腫瘍血管近傍までカテーテルを進め、経カテーテル的に炭酸ガス溶解液の注入を行った。炭酸ガス溶解液注入群と対照群(生理食塩水注入)の2群に分け、各々1回の注入を行った。注入時および注入終了3日後に腫瘍体積の評価目的として造影CTを撮影し、腫瘍容量を計測し各群での比較を行った。病理・分子生物学的検討として屠殺後に腫瘍を摘出し、組織切片を用いTUNEL染色にて、DNAフラグメンテーションアッセイを行い病理学的に評価し、腫瘍からタンパク質を抽出して、Cleaved caspase-3の抗体を用いてWestern blottingにて分子生物学的にアポトーシスを評価した。注入前後の腫瘍増大率において、対照群は平均1.27倍であったのに対し、炭酸ガス溶解液注入群では0.95倍と優位に低値であった。また、TUNEL染色(各視野中のapoptotic cell数)では対照群:炭酸ガス溶解液群=215.0:21.8、Western blotting(Cleaved caspase-3のゲルバンドの相対的濃度)では対照群:炭酸ガス溶解液群=0.23:0.04であった。これらの結果より、選択的動脈内炭酸ガス溶解液注入治療はcaspase-3の発現による細胞死を誘導し、腫瘍の増大を抑制することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験データーを取得し、英語論文を作成した。 Journal of Vascular and Interventional Radiology誌に投稿し、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
VX2担癌ウサギに対する炭酸ガス投与を継続するが、炭酸ガス投与量を適宜変更し、臨床応用に向けて至適安全投与量の検証に努める。また、投与方法に関しても腫瘍血管の選択をより容易かつ円滑に進めるために実験技術を向上させ、より適切な使用器具の模索を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
VX2担癌ウサギに対する炭酸ガス投与についての治療効果についての評価は、論文作成できるに充分なデータを取得できたため、実験が予定より早く終了した。そのため実験にかかる経費が予定より少なく済んだ。 VX2担癌ウサギに対する炭酸ガス投与の実験を継続して、炭酸ガス投与量を適宜変更し、臨床応用に向けて至適投与量の検証に努めていく。
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