研究課題/領域番号 |
25461890
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中塚 誠之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50188984)
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研究分担者 |
井上 政則 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30338157)
小黒 草太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50383716)
塚田 実郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50573276)
屋代 英樹 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (90327643)
伊東 伸剛 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (00445248)
須山 陽介 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00594607)
田村 全 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50594602)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 凍結治療 / thermal sink effect / アブレーション |
研究実績の概要 |
(寒天モデル実験の確率)一年目の実験で、市販の寒天を凍結端子で冷却した際、寒天内のice ballがCTで明瞭に観察できることをすでに知り得ているので、温水を流したビニールチューブ近傍を2.4mm径の凍結端子で凍結した場合のice ballの形成状況をCTで経時的に観察することとした。1000mlの医療用生理食塩水のプラスチックボトルを10cm高さで切断する。底面から5cmの位置に、あらかじめ一定の太さのビニールチューブと11Gコアキシャルニードル外筒を5mmの距離で近接させて貫通させておく。そこに市販の寒天を流し込み一晩冷蔵することによりice ball観察用の寒天モデルを作成した。 (流量変化によるice ball形状の変化)最初に血流に見立てたビニールチューブの径を3mmに固定して、流速を変化させて計測することとした。4-5mm径程度の一つの腎動脈の一分間の血流量が300-400mlであることから、3mm径の血管は毎分150ml程度と推定した。流量を毎分100ml、300ml、500mlと設定しice ballの形状を1分ごとにCTを撮影し観察した。100mlないし300mlでは血流を模擬したビニールチューブ周囲にもice ballが作成された。一方、500mlではビニールチューブ周囲にわずかな距離を残してice ballが作成された。このことから3mm径血管の通常の血流量ではthermal sink effectは問題とならないことが推測され、肺腫瘍の凍結治療の臨床で得られていたthermal sink effectの実感を裏付けるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目で流水ポンプシステムが不安定であったこと、寒天モデルの作成に難渋したことが影響し、2年次で予定していた寒天モデル実験の終了には至っていない。ただし、信頼できる寒天実験モデルの作成にめどが立ったことが大きな収穫である。平行して行っていた動物実験は限定的なデータ収集ができたのみである。
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今後の研究の推進方策 |
安定した信頼できる実験系が作成できたので、今後は血管を模したビニールチューブ径、流速を変化させて実験を行う。 2mm径、3mm径、4mm径、5mm径、7mm径、10mm径のビニールチューブで流量を変化させてデータ収集を行う。2mm径、3mm径、4mm径、5mm径、7mm径、10mm径では毎分100ml、300ml、500mlでCT下の観察を行い、7mm径、10mm径では適宜毎分700ml、1000mlなどの計測を行う。必要に応じて15mm径などでも同様に観察を行う。これらのことから、血管径と血流量のthermal sink effectに与える影響をモデル実験にて明らかにする。そののち、視認可能なthermal sink effectが生じる状態と生じない状態を、豚肝にビニールチューブを通した状態で観察し、一定の傾向を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の費用が当初の予定より少額で済んだことが大きく影響している。
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次年度使用額の使用計画 |
まずは寒天モデル実験が最も重要であることが分かったので、様々に条件を変えて多くの実験を行い、適正に費用を使用できると考えている。
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