研究課題/領域番号 |
25461892
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
田島 廣之 日本医科大学, 医学部, 教授 (00188244)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 静脈血栓塞栓症 / 肺血栓塞栓症 / Interventional Radiology / thrombectomy / thrombolysis / in vitro / ブタ実験モデル / aspiration |
研究概要 |
致死性静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)への期待はきわめて大きいが、いまだ標準治療として評価されるには至っていない。申請者は、本領域におけるハイブリッドIVR治療システムを考案しこれまで研究を重ねてきたが、それに伴い新たな問題点も明らかになってきている。本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにある。具体的には、新規システムを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。 本年度は、主に、新しい血栓吸引デバイスを考案・作成し、in vitro studyを推進した。具体的には、ブタ肺塞栓モデルを用いたハイブリッドIVRに関する研究に従事した。 まず、いくつかの方法を用いて、自己血栓作成。作成した血栓に対し、体外で新規吸引デバイスを用いて吸引実験を行った。次に、ブタ下大静脈に血栓を作成。吸引実験を行った。最後に、エックス線非透過血栓を作成し、透視にて視認できるか確認した。 今回の成果をまとめると、以下のごとくであった。今回の実験系で、下大静脈バルン閉塞自体は問題なく行われた。血栓も作成可能であったが、ヒト生体内への近似性という点で、トロンビン量とヘパリン量の検討が必要であった。エックス線非透過血栓としては、造影剤Iohexol 300mgI /ml 20ml+血液40ml+トロンビン600単位、または、10ml+血液40ml+トロンビン500単位が望ましかった。新規作成デバイスは血栓が比較的詰まりやすく、ヘパリン・コーテイングなどが必要かもしれない。また耐久性の強化が不可欠と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
致死性静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)への期待はきわめて大きいが、いまだ標準治療として評価されるには至っていない。本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにある。具体的には、新規システムを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。 本年度は、主に、新しい血栓吸引デバイスを考案・作成し、in vitro studyを推進した。まず、新しい血栓吸引デバイスについては、問題なく作成しえたため、そのまま動物実験に入ることとした。次に、実験系の確立についてであるが、これについても問題ないレベルまで到達したと考えている。血栓も実臨床で求められるレベルまで作成可能であった。下大静脈バルン閉塞自体も問題なく行われた。しかしながら、血栓吸引を何度も行っていくうちに、新規作成デバイスは血栓が比較的詰まりやすいことが判明した。今後デバイスの改良が望まれている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにある。具体的には、新規システムを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。 本年度は、主に、新しい血栓吸引デバイスを考案・作成し、in vitro studyを推進した。血栓吸引を何度も行っていくうちに、新規作成デバイスは血栓が比較的詰まりやすいことが判明したため、次年度は、まずデバイスの改良を行う。具体的には、ヘパリン・コーテイングと耐久性の強化を行う。そして、ブタ血栓モデルにより、デバイスの実証実験を繰り返す。これによりシステムの安全性と有効性を確認しうるものと考えている。また、同時に、手技に伴う血栓塞栓の遠隔塞栓に対する解決法と予知について、さらには我々が今まで行ってきたIVRの長期予後についても研究を進める。動物実験により、システムの安全性と有効性が証明された場合、本学付属病院に搬入される致死性静脈血栓塞栓症を対象として、十分なインフォームド・コンセントを得た後、細心の注意をもって、新しいハイブリッドIVR治療システムの臨床応用を開始する。得られた成果については詳細に検討し、厳密な統計処理を行った上で、学会発表・論文執筆を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ブタ実験モデルにて、我々が開発した新規作成デバイスは、血栓吸引を何度も行っていくうちに、血栓が比較的詰まりやすいことが判明した。このこと自体は予期しうる範囲内ではあったが、実験の進度が若干当初より遅れたことは否めない。 このことにより、次年度使用額が発生してしまうことになった。現在は、デバイスの改良が望まれている段階である。 本年度は、主に、新しい血栓吸引デバイスを考案・作成し、in vitro studyを推進した。血栓吸引を何度も行っていくうちに、新規作成デバイスは血栓が比較的詰まりやすいことが判明したため、次年度は、まずデバイスの改良を行う。具体的には、ヘパリン・コーテイングと耐久性の強化を行う。そして、ブタ血栓モデルにより、デバイスの実証実験を繰り返す。これによりシステムの安全性と有効性を確認しうるものと考えている。したがって、物品費として当該金額は使用することになる。 なお、動物実験により、システムの安全性と有効性が証明された場合、本学付属病院に搬入される致死性静脈血栓塞栓症を対象として、十分なインフォームド・コンセントを得た後、細心の注意をもって、新しいハイブリッドIVR治療システムの臨床応用を開始する。
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