研究課題
致死的静脈血栓塞栓症に対するIVR(Interventional Radiology)への期待はきわめて大きいが、いまだ標準治療として評価されるには至っていない。本研究の目的は、重症静脈血栓塞栓症に対する血栓溶解・破砕・吸引療法を併せたハイブリッドIVR治療システムの完成を目指すことにあった。具体的には、新規システムを開発し、基礎的研究を行うことにより安全性を高め、最終的に治療成績を更に向上させる。まず、新しい血栓吸引デバイスについては、問題なく作成しえたため、そのまま動物実験に入ることとした。成果をまとめると、以下のごとくであった。今回の実験系で、下大静脈バルン閉塞自体は問題なく行われた。血栓も作成可能であったが、ヒト生体内への近似性という点で、トロンビン量とヘパリン量の検討が必要であった。エックス線非透過血栓としては、造影剤Iohexol 300mgI /ml 20ml+血液40ml+トロンビン600単位、または、10ml+血液40ml+トロンビン500単位が望ましいことが明らかになった。一方、新規作成デバイスは血栓が比較的詰まりやすいことが判明した。今後、デバイスをヘパリン・コーテイングとし、また、耐久性の強化をおこなうなどの対策が必要である。また、手技に伴う遠隔塞栓に対する解決法とその予知とともに、更には我々が今まで行ってきたIVRの長期予後調査についても研究を進めた。その結果、致死的静脈血栓塞栓症に対する血栓吸引術の10年生存率は75.0±12.5%、ハイブリッドカテーテル治療の10年生存率は74.5±9.0%であることが初めて明らかになった。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (7件)
臨床放射線
巻: 61 ページ: 177-184
救急医学
巻: 40 ページ: 194-200
臨床画像
巻: 31 ページ: 31-41
静脈学
巻: 25 ページ: 281-282