研究課題/領域番号 |
25461893
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
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研究分担者 |
谷川 昇 関西医科大学, 医学部, 教授 (90227215)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インターベンショナルラジオロジー / ナノバブル / キャビテーション / 血栓溶解 |
研究実績の概要 |
H26年度の目的は、ナノバブルジェネレーターの製作完成と動物実験とした。まず、CO2、生理食塩水、5F血管造影用カテーテルを用いて25年で構築したジェネレーターの改良を行った。当研究室と株式会社アスプの実験室にてナノバブルの生成実験を繰り返した。アスプ社の機器を用いて行い、本研究に特化した条件を導き出した。これをもとに我々の実験に最適なミキシングヘッダー、スウェージロック、ステンレスギアーポンプの条件を決定した。この条件をもとに上記の3機器を株式会社アスプの協力を得て制作した。3機器を組み立てナノバブルジェネレーターが完成した。当実験室でナノバブル生成実験を繰り返し行い、5F カテーテルから低流量で吐出するナノバブルジェネレーターとして完成した。次いで吐出されたナノバブルに高周波を照射しキャビテーションを生じさせる実験を繰り返し行った。しかし、研究計画時に想定していた診断用超音波装置の照射によるキャビテーションは生じないことが判明した。周波数の問題ではなくエネルギーの不足であることが分かった。また計画当初で入手できると考えていたEKOSの入手が不可能となった。そこで国内の高周波装置を使用することに変更した。 動物実験は、豚を用いて行った。全身麻酔下の豚の大腿静脈にシースを挿入し、ナノバブルジェネレーターに接続した5Fカテーテルを挿入した。ジェネレーターからの吐出は当初の計画通りには進まなかった。この実験で血栓とバブルの可視化が必要であると判明した。本研究の最終目標に到達するためにまず、循環型血管フャントム内に血栓を充てんし、ナノバブルを還流させ高周波を照射する実験を行う必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置の最適化に時間を要した。調節用バブルによる条件の再現が難しく時間を要した。スウェージージロックを使用することで解決した。 バブルによる白濁の確認はインビトロでは容易であったが生体の血管内に入るとバブル自体の認識がかなり困難であることが判明した。 動物を用いて最適なキャビテーションの条件を得るよりもインビトロによる血栓溶解実験をより行い最適なキャビテーションの条件を得る方が確実と判断した。 当初の計画に行き詰まり、実験方法を変更したことにより「やや遅れている。」と評価した。しかしながら実験の方法の変更で解決する手段を考案することができ、H27年での目的の達成には寄与すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度前半は透明容器とファントム内に血栓を充てんし、ナノバブルジェネレーターからバブルを供給し高周波によってキャビテーションを生じさせる。 まずは生理食塩水を満たした透明容器に血栓を浸し、ナノバブル化炭酸ガス加生理食塩水を循環させて血栓を溶解する実験を行う。24時間置いた人血の血栓を用いる。ナノバブルの有無、照射の有無の条件にてキャビテーションが有意に血栓破砕、溶解に作用していることを証明する。透明容器で行う理由は、血栓溶解、ナノバブル、キャビテーションを視覚的に観察し詳細なデータを得ることである。これらのデータをもとに血栓溶解に条件の異なるキャビテーションがどのように作用するかの知見を得る。 さらに循環型血管ファントムを用いて同様の実験を行う。これらのインビトロでの実験はキャビテーションが有意に血栓溶解に作用することを証明することが目的であるので必ずしも容器内での溶解、血管ファントムでの溶解の両実験を行う必要はなく、透明容器での実験でキャビテーションが血栓を溶解するデータが得られれば血管ファントムの実験は行わず動物実験へと移行する。 工夫すべきところは、繰り返し容器内に同じ条件の血栓を置き、血栓にいかに多くの生理食塩水が触れるように浸すかというところである。生理食塩水の還流を安定して行え、還流の流れによる物理的な力の作用による血栓の溶解を最小限にとどめ、この容器に安定して高周波を照射できるようにしなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰り越しは3,212円であり、研究費使用の上で端数の範囲と考える。研究がやや遅れていることもあり、H27年度の消耗品に充てる。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度の消耗品の使用に充てる。
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