本実験ではナノバブルの生成と超音波の発生の2つが重要となり、それぞれを並行して研究を進めた。 ナノバブルの生成: H26年までに製作したナノバブルジェネレーターは装置が大掛かりで生食、CO2の供給のコントロールに難渋し、動物実験では安定した結果を得ることに失敗した。H26から27年にかけてはファントム実験に戻りナノバブルジェネレーターの製作、テストを繰り返した。しかしこの装置での改良では、実臨床への導入にはハードルが高いと判断した。このためこれまでのノウハウと実験結果をもとに全く新しく安価なものをメーカーと共同で開発した。ナノバブルジェネレーター部分を取り出し、三方活栓のメス側2か所に取り付け、さらにそれに延長してシリンジを取り付け、機械に頼らず手動でシリンジを往復させることにより密度の高いナノバブルを得る器具である。シリンジを往復させることによりジェネレーターを何度もパスさせることができ安定したナノバブルの生成ができた。またシリンジからすぐに針やカテーテルを通してバブルを注入できるものとなり生体への利用、その他医療への利用が簡便になるものを製作できた。本器具を「気体含有液生成装置」として関西医科大学と株式会社アスプで共同出願した(特願2016-125909)。 超音波の発生:種々の超音波発生装置を用いてバブルのキャビテーションの実験を行った。この結果、理学療法のために承認されている装置が適切であることが分かった。実臨床で使用するには改良と承認が必要であるが、動物実験を行うためには特に問題はなかった。 生体内キャビテーションの発生:ナノバブルの生成、適切な超音波発生が可能となりH29年1月に血管内にナノバブルを投与し、体外から超音波を照射することにより血管内でキャビテーションを生じさせることに成功した。
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