研究課題
「分子イメージングを用いた原発性肺癌に対する高精度放射線治療の研究」の準備を2013年4月より開始している。まずは低酸素イメージングプローブである、[18F]fluoromisonidazole(FMISO)を用いて、「非小細胞肺癌におけるFMISO-PETの有用性評価のための基礎的研究」という前向き研究を立ち上げ、2013年7月に北海道大学病院のIRBより承認を受け、患者リクルートを開始した。2014年12月までの期間にcStageIの非小細胞肺癌症例12名の登録を行ない中間解析を行なった。全例体幹部定位放射線治療前にFMISO-PETを撮像した。年齢の中央値は85歳、腫瘍サイズは12-34mm(中央値23mm)であった。FMISO-PETはFMISOを400MBq投与し、4時間後に撮像している。撮像は全例呼吸同期PETにて行なった。低酸素領域を決定するため、正常筋肉内の40か所のSUVmaxを測定し、その「平均値+1.96×標準偏差」を閾値と設定したところ、SUVmax1.60以上の領域を低酸素領域と判断した。12例のうち7例に有意なFMISOの集積が認められ、58%(7/12)の症例に低酸素細胞の存在が示唆された。またFMISO集積を認めた7例のうち5例は体幹部定位放射線治療後にもFMISO-PETを撮像し、そのうち4例(80%)に有意な集積低下を認め、再酸素化現象が示唆された。その後も順調に症例を集積しており、2016年3月までにおいて21例まで登録した。現在も研究は継続中である。今後は「低酸素イメージングによる体幹部定位放射線治療の予後因子解析」や「低酸素イメージングによる体幹部定位放射線治療後の再酸素化と予後の解明」などの検討を進めていく予定。
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