研究課題/領域番号 |
25461898
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土屋 和彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (60580892)
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研究分担者 |
本間 明宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312359)
寅松 千枝 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 主任研究員 (90421825)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 陽子線治療 / 強度変調 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
当院にて強度変調放射線治療にて根治治療を行った下咽頭癌患者の治療計画用のCTのデータおよび実際に臨床で治療に使用したターゲット、脊髄、、脳幹や耳下腺などの正常組織の輪郭像を強度変調陽子線治療計画装置に転送しそのデータを元に強度変調陽子線治療計画を作成した。治療計画に関しては現在臨床で用いている強度変調放射線治療と同様原発巣、転移リンパ節に加え頚部の予防リンパ節領域をルビエールリンパ節から鎖骨上窩まで含めた全頚部照射とした。国内の施設では照射野サイズの関係で全頚部を布全て含めての陽子線治療は不可能であったが当院の陽子線治療装置は照射野が30cmx40cmと多施設に比べ広く今回のような頭蓋底から鎖骨上窩にいたる全頚部照射が可能であり今後臨床応用が可能となれば全頚部を強度変調陽子線治療できる国内唯一の施設となる。昨年度の症例も再度計画を行い現在までに7例に治療計画を行った。治療計画はいずれも3方向からのビームを用いた。浅部線量を担保するため4cm厚のボーラスを体輪郭周囲に擬似的に作成し治療計画を行った。線量規制は現在臨床で用いている強度変調放射線治療のものと同じものをを使用した。7例とも線量規制を満たすプランが作成可能であった。実際に治療を行った強度変調放射線治療計画と比較したところ強度変調陽子線治療計画では線量低減側の耳下腺、および口腔の線量を強度変調放射線治療計画と比較し有意に下げる事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療計画に要する時間が非常にかかるため。線量規制を満たすために一部のパラメータを変更し再計算、確認、再調整という行為が何回も必要とされるが作業自体が一回について半日以上かかり一つのプラン完成までに非常な時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
強度変調陽子線治療では3門の治療計画で実際に臨床で用いている線量規制を満たす治療計画が可能であり、7例と少ないながらも耳下腺線量、口腔への線量を強度変調放射線治療と比較し低減する事が出来た。これは実臨床に応用した場合治療に伴う有害事象を軽減出来る可能性を示唆ししている。今後は治療計画を更に洗練させかつ症例を増やし強度変調放射線治療線量と比較しどのような優位性があるか将来の臨床応用に向けて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集の学会参加が予定より少なくなったため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は国際学会での成果発表を予定している。
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