研究課題
当院にて強度変調放射線治療にて根治照射を行った下咽頭癌患者の放射線治療計画用CT画像および実際に治療に用いたターゲットや脊髄、脳幹や耳下腺などの正常組織の輪郭像を強度変調陽子線治療装置に転送、そのデータを元に強度変調陽子線治療計画を作成した。治療計画に関しては臨床で用いている強度変調放射線治療同様に原発巣、転移リンパ節に加えルビエールリンパ節から鎖骨上窩まで含めた全頚部照射とした。国内の多くの施設では照射野サイズの関係で例え散乱体法であっても全頚部を含めた陽子線治療は困難であったが当院では照射野が30cmx40cmと広くこの様な大きな容積のターゲットを治療可能である。合計で7例に強度変調陽子線治療計画を作成した。治療計画はいずれも3方向からのビームを用い、浅い部分の線量を担保するために4cm厚のボーラスを体輪郭周囲に擬似的に設定し治療計画を作成した。線量規制に関しては臨床で使用している強度変調放射線治療と同じものを用いた。7例全てにおいて線量規制を満たすプランが作成可能であった。強度変調陽子線治療と強度変調放射線治療の治療計画を比較したところターゲットへの線量分布には差が無いものの強度変調陽子線治療計画の方が線量低減側の耳下腺、および口腔への平均線量が優位に低くすることが可能であった。もし臨床応用が可能となれば強度変調放射線治療に比べ更なる有害事象が低減出来る可能性が示唆された。本研究成果を54th Annual Conference of the Particle Therapy Co-Operative Group (PTCOG)で発表した。
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