研究課題/領域番号 |
25461899
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部) |
研究代表者 |
小野寺 俊輔 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 放射線治療科, 医長 (30374458)
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研究分担者 |
中村 公則 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 准教授 (80381276)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線腸炎 / αディフェンシン / 強度変調放射線治療 / 陽子線治療 |
研究実績の概要 |
本研究においてまず陽子線治療の腹部照射における有用性を明らかとするため、子宮頸癌の全骨盤照射におけるX線による強度変調放射線治療と陽子線治療の比較研究を北海道大学大学院の吉村高明先生とともに研究した。当初は強度変調放射線治療と比較し、陽子線治療において通常の陽子線治療計画では有為な差を認めなかったが、陽子線治療の治療計画の改善により小腸や骨髄への投与線量を低減できる可能性が示唆された。これらの結果については第107回日本医学物理学会学術大会ならびに第53回International meeting of the Particle Therapy Co-Operative Groupにおいて発表した。 また、αディフェンシンが腸内の組織ダメージを反映するかどうかについての動物実験での研究については、8Gy以上の投与線量において照射後3日目の便中のαディフェンシンが低下していた。このころにおける体重減少も昨年度の研究で観察されていることから、αディフェンシンが放射性腸炎の出現を反映している可能性が高いが、実験におけるマウスの頭数が十分ではなく、次年度におけるさらなる追試が必要である。なお、血中シトルリンの照射後の変化ははっきりとは認められてはいない。 臨床における応用については、現在臨床研究として研究代表者の所属する施設でIRBの承認を受け、現在も症例集積中であるが、症例が集まっておらず、実症例での解析はまだ行えていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度において研究代表者の登録施設変更が生じたことにより、研究場所や施設の整備から行わなければならず、このため4月から10月にかけてマウス実験ならびに臨床研究登録申請手続きも中止となり、研究開始の遅延が生じた。10月からは共同研究者である中村先生の所属する研究施設でのマウスの実験が可能となり、また研究代表者の新たに所属する施設における臨床研究の申請も行うことができたが、そこから半年間での研究となったため十分な成果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験における8Gy投与群のマウス頭数をさらに集積し、今年度にみられた照射後3日目のαディフェンシンの低下が放射性腸炎を反映しているかのさらなる検討を加える。 また、今年度は十分に行えていない病理組織との対比についても継時的なマウス組織の採取を次年度においては実施し、αディフェンシンの低下と病理組織像との関連を明らかにしていく。また、腸内細菌叢の変化について解析を行っていく。 臨床応用においては、臨床研究における症例集積を続け、実際の症例においての放射性腸炎と血液中のシトルリンやリゾチーム活性、食事との関連を検討し、人における放射性腸炎の細菌叢変化も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、今年度と予定していた腸内細菌叢の変化における研究が行えておらず、このため、2回分の腸内細菌叢の解析費用(100万円程度)が未使用のまま残っている。これらは次年度において行う予定である。また、実験において使用するマウスも予定数に達していない。 これらの理由から次年度の繰り越しが発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において、腸内細菌叢の解析を行う。また、マウス実験もさらに行う。 またこれらの実験結果を学会に発表する予定である。
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