研究課題/領域番号 |
25461904
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
田代 睦 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (60447274)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重粒子線治療 / 放射線治療 / 患者位置決め |
研究実績の概要 |
本研究では、重粒子線治療における位置決め作業の高速化・高機能化を目指し、治療計画用CT画像から生成される疑似X線画像(DRR)と照射時に撮影されるX線画像との自動位置決めソフトウェアを開発すること、さらに、画像を領域分割して行うことにより、体内各部の領域毎の位置ずれ量を定量化、可視化する機能を開発し、位置決めにおける患者位置修正を補助できるシステムを研究・開発することを目的としている。当年度は前年度に開発した自動位置決めソフトウェアのアルゴリズムについて、より正確な結果が得られるものとするため以下の通り検討及び方針修正を行った。 マッチングの際の6つの変位量(回転・並進)によるCT画像の移動とそれに伴うDRRの動作を確認し、我々の2D-3Dマッチングが2D-2Dマッチングとそれに続くロールマッチングの2ステップ構成であることを考慮してその変位の順番を見直した。次に、マッチングでは、目的関数が最小となるべく微小変位を繰り返すが、各ステップで得られた変位量と全体を合成した変位量との関係から、元の位置からの変位量を得る処理を加えることとした。その際に、上記マッチングのステップを考慮した。また、治療計画における治療台初期回転角度および、位置決め開始時における実際の治療台初期回転角度を持つ場合の、より一般的な状況に対応するべくDRR作成における座標変換の基本仕様を見直した。その際、2D-2Dマッチング時のX線TV装置の座標系と、治療台回転位置が一般的には異なることから、2D-2Dで得られる変位量から治療台回転位置座標での変位量への換算を考慮するものとした。さらに、マッチングにて得られた6つの変位量から、実際の治療台の変位量への換算法について明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、前年度の開発を継続し、X線画像とDRR画像を比較して、最も一致する位置ずれ量を算出する自動位置決めソフトウェアを開発すること、および、分割した領域について、領域毎に位置合わせを行い、それぞれについて位置ずれ量を算出できるようにすることである。自動位置決めソフトウェアの位置決め精度としては、ファントムや一部の患者データを用いた試験にて0.5mm、0.5°程度以下が得られているが、原理的な見直しの必要性が明らかになったため、その内容について検討を行い、修正方針を明確にした。今後その修正を加えたソフトウェアを製作し、試験を行う予定である。上記、原理的な見直し検討やその修正対応が予想外に必要となったことで、若干計画が遅延してしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
自動位置決めソフトウェアに関しては、動作するものが開発された状況である。精度についてはファントム画像にておおよそ必要とされるものになっている。今後、今回の検討結果を反映させ、位置決めソフトウェアの検証を行って行く予定である。 分割マッチング法に関しては、上記ソフトと同様に、今回の検討結果を反映させたソフトウェアを用いてファントム等実画像による検証を行い、問題点を明らかにしてソフトウェアの修正や改良を行う予定である。さらに、複数の分割領域に対するずれ量の定量化ソフトウェアの機能拡張や、分割領域のずれ量の定量化からその可視化の方法に関して検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析用の計算機やソフトウェアの購入および国内外の学会参加が予定通り行えなかったため、使用額に差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、多くのデータを処理するための計算機および周辺機器、ソフトウェア、結果を報告するための国内外学会の参加費、論文投稿にかかる費用に使用する予定である。
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