研究課題
本研究では、重粒子線治療における位置決め作業の高速化・高機能化を目指し、治療計画用CT画像から生成される疑似X線画像(DRR)と照射時に撮影されるX線画像との自動位置決めソフトウェアを開発すること、さらに、画像を領域分割して行うことにより、体内各部の領域毎の位置ずれ量を定量化、可視化する機能を開発し、位置決めにおける患者位置修正を補助できるシステムを研究・開発することを目的としている。当年度は体積分割による位置決め手法の開発とその確認を以下の通り行った。3D-CT体積を、動きのない骨構造である母体側と、治療計画時から動きのある部分(分割体積)に複数(ここでは2つ)に分割し、それぞれを独立に3次元的に計算機上で仮想的に動かすことにより、逐次DRRとX線画像とのマッチングを行い、これにより、一般的な骨構造の位置決めとともに、動きのある分割体積部分も視覚的に一致させ、母体積からの移動を定量化することができた。マッチングの際の1体積につき6つの変位量(並進・回転)が、分割体積数分増え、12パラメータのマッチングとなる。12パラメータを一度にマッチング処理することも可能であるが、母体側6パラメータ、その後分割体積側6パラメータのマッチングをすることや、母体側マッチングの際には分割体積側にマスクをかけることがマッチング処理に有効であることがわかった。また、分割体積には直方体だけでなく治療計画の輪郭情報にも対応した。分割体積と母体積との衝突部分や空隙部分が画像マッチングに与える影響を小さくするために、それぞれ2体積の最大値投影処理、最小値投影処理が有効であることがわかった。以上より、実患者治療症例に対して、治療計画CTと治療照射時のX線画像を用いて、両者で動きのある部分も含めて照射時の患者状態に画像を合わせ、その移動量を定量化することができた。
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Journal OF Radiation Research
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10.1093/jrr/rrx001