研究課題
炭素線治療は優れた線量分布と生物学的効果の特徴を持ち、効果の高い治療法として期待されている。しかしその物理学的生物学的学的機序は未解明で、単純なモデルを仮定している部分がある。炭素線ビームの輸送についても単純な近似を仮定してきたが、実際はより複雑であることが予想される。本研究では、炭素線治療のビームについてモンテカルロ法を用いたシミュレーションツールを構築し、そのために平成26年度に高速計算機を導入し効率化を図った。27年度はシミュレーションの妥当性を検証するために計算と実測を比較した。その結果、飛程は±0.5mm以内で一致している、一方多重散乱についてはGeant4の計算結果が実測より小さくなる傾向がある。この点についてGeant4の開発者グループに問い合わせをしているところである。またフラグメンテーション粒子の発生についてもモデル依存性や実測と違いがある。今後新規に採択された課題(基盤C「モンテカルロ法を用いた炭素線治療シミュレーションシステムの開発」(16K10385))でこれらの問題を追求する予定である。ビーム輸送におけるの位相情報を管理するツールがあることを本研究課題の実施機関中に判明した。今後本目的に利用できるか検討する予定である。尚、この研究内容については富山高専で行われた「富山PTSIM研究会」で発表し、更に2016年5月にプラハで開かれるParticle Therapy Co-Operative Group(PTCOG)で発表することが確定している。
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PLOS ONE
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