研究課題
平成25~26年度では、放射線被ばく後のDNA過酸化物生成量を解析して照射線障害を推定するとともに当研究室にて研究されている「培養担子菌抽出物質」の放射線防護効果の検討を実施した。DNA過酸化物として8-hydroxy-deoxyguanosine(以下8-OHdG)について初期の生成量を測定した。その結果、4.5Gyの全身照射マウス血漿の測定では照射5~7日で5.12~5.16ng/ml濃度で8-OHdGが検出された。また、放射線に感受性の高いマウスの胸腺組織標本からの免疫染色では、照射3日、5日後で8-OHdG陽性像が認められた。脾臓の標本では、照射5日、7日後に8-OHdGの陽性像がみられた。さらに炎症初期診断の新たな酸化ストレスマーカーとして有意義と考えられる8-bromo-deoxyguanosine(以下8-BrdG))では、胸腺標本で4.5Gy照射3日後に陽性像が確認され、脾臓標本からは、照射1日および3日後の早い時期に陽性像が認められた。さらに「担子菌抽出物」の放射線防護効果については、8.0Gy全身照射(LD50/30線量)マウスに対して投与群で照射単独群の約2倍の生存率の上昇が認められた。平成27年度では、「担子菌抽出物」の高線量被ばくからの回復機序解明のみならず、放射線に感受性の高いリンパ球や精巣に対する低線量の被ばくと「担子菌抽出物」の放射線防護効果について検討を実施した。その結果、リンパ球に対する1から3GyのX線照射(in vitro)し、直後に「担子菌抽出物」を添加したリンパ球では有意なDNA合成増加(1.5~2.1倍)が認められた。また、X腺の精巣照射直後に「担子菌抽出物」の投与を受けたマウスに有意な精子生存率の上昇が認められた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 図書 (2件)
J Radiat Res.
巻: 57 ページ: 169-173
Brachytherapy.
巻: 14 ページ: 642-647
Int J Gynecol Cancer.
巻: 25 ページ: 891-896
巻: 56 ページ: 849-855