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2013 年度 実施状況報告書

食道癌放射線耐性機序解明とHDAC阻害薬による放射線耐性克服の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 25461909
研究種目

基盤研究(C)

研究機関金沢大学

研究代表者

二宮 致  金沢大学, 大学病院, 准教授 (60345618)

研究分担者 藤村 隆  金沢大学, 医学系, 准教授 (50262580)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード食道癌 / 放射線照射 / 上皮間葉転換 / がん幹細胞
研究概要

本研究は、食道癌における放射線耐性のメカニズムを解析すると共に、HDAC阻害薬であるValproic acid (VPA)の放射線耐性克服効果を基礎的に検討する事を目的とする。食道癌は腫瘍内の低酸素環境や、放射線照射による細胞ストレスによりHIF1αを誘導し癌幹細胞へと形質転換し放射線耐性を獲得することが疑われる。HDAC阻害薬はそれ自体放射線増感作用を有するが、非ヒストンタンパクのアセチル化作用により HIF1α発現を抑制し、癌幹細胞への形質転換を阻害するとともにDNA二重鎖切断酵素の作用を抑制することにより放射線耐性を克服することが期待される。平成25年度は食道癌培養細胞に放射線照射を行った場合に観察される癌細胞の形質転換について検討を行った。食道癌培養細胞株である TE9 細胞に殺細胞効果を認めない程度の放射線照射を行うと、細胞形態は紡錘状に変化し細胞表面に発現する E-cadherinの発現減弱とβ-cateninの核内移行、Vimentinの発現増強を認めた。更に放射線照射では TGF/smad 経路におけるsmad2,smad3のリン酸化と転写調節因子である twist, snail, slug の誘導も確認された。これらの変化はTGF-βにて誘導される上皮間葉移行(EMT)と同様の変化であり、放射線照射によってEMT誘導が起こることが確認された。更に放射線照射にて癌細胞の浸潤・遊走能が亢進することが確認された。また放射線照射によりHIF-1αの発現が亢進し癌幹細胞に現れる表面マーカーであるCD44の発現率の上昇が確認されたことより、EMTに伴い癌幹細胞様形質を獲得した可能性が示唆された。 以上より放射線照射によって食道癌がEMT変化と癌幹細胞様形質を獲得し、より悪性度の高い細胞へと形質転換し治療抵抗性の一因となっていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

食道癌に対する放射線照射により、当初予想された上皮間葉転換とがん幹細胞様形質の獲得が誘導されることが明らかとなったため

今後の研究の推進方策

今後は食道癌に放射線照射によって引き起こされる上皮間葉転換・がん幹細胞様形質がヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるバルプロ酸(VPA)によって抑制可能かどうか検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

今年度の研究により今年度予定された研究費の大部分を使用したが、予定研究費に対し若干の差額が生じた。 この差額は引き続き次年度の研究費として使用する予定である。
差額は最小限であり、引き続き次年度の研究費として使用する予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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