研究課題/領域番号 |
25461911
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
大宝 和博 朝日大学, 歯学部, 教授 (20452146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 定位放射線治療 / 高精度放射線治療 / 低侵襲治療 / 脳卒中 / 脳動静脈奇形 / 脳血管奇形 |
研究実績の概要 |
頭蓋内血管奇形症例に対する3次元回転血管造影画像(3DRA)の治療計画への統合による画像誘導システムを用いたマスク固定での定位手術的照射に関して、初年度においてノバリスTxシステムでの基礎的検討と検証結果、そして初期臨床経験をふまえ、さらに臨床適用を慎重に進めた。最終的に11例に本治療を適用した。従来のフレーム固定による治療について他地域で可能な方法についても情報提供、選択肢の提示を行い、文書による同意を得た上で実施した。いずれの症例おいてもフレーム固定と遜色ない良好な頭部固定精度を得ることができた。臨床経過については経過観察期間が総じて短いが、1例で1年後の完全閉塞を確認した。 研究代表者の研究協力施設への異動に伴い、本治療技術が画像誘導システムを備えた他メーカーの機種でも普遍的に適用可能か検討すべく、当初予定していたとおりエレクタシナジーシステムでの同様な方法が適用可能か基礎的検討を行った。その結果3DRAのコーンビーム再構成データの治療計画ソフトへの転送が通常の方法では困難であることが判明した。その対応策を検討した結果、転送前のデータを至適に処理することにより可能となった。頭部ファントムを用いて基礎的検討を行った結果、エレクタシナジーシステムでも頭蓋内血管奇形症例に対して3次元回転血管造影画像(3DRA)の治療計画への統合による非侵襲的なフレームレスでの定位手術的照射(あるいは定位放射線治療)が施行可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノバリスTxシステムでの基礎的検討と検証結果、そして初期臨床経験をふまえ、さらに臨床適用を進めることができた。最終的に11例に本治療を適用し、標的設定において特に支障はなく、またフレーム固定と遜色ない良好な治療精度を治療中~治療後にかけて確認できた。塞栓術が先行された標的設定の困難な症例に対して、塞栓前と定位手術的照射前の3DRAを治療計画CTに統合することで、塞栓された成分と塞栓物質の局在をふまえた標的設定が可能となり有用であることを確認した。さらに他のシステム(エレクタシナジー)において同様な手法が適用可能であることを頭部ファントムで確認できた。このように本治療技術が画像誘導システムを備えた他メーカーの機種でも普遍的に適用しうるものであることが確認できた。定位放射線治療の安全性の向上、一層の低侵襲化につながるものであり臨床的意義は大きいものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
エレクタシナジーシステムを用いた本治療について臨床適用を進めていく。頭部の固定システムも異なるため、その差異が影響しないかについての検討も含めまずは治療精度を中心に解析する。またコーンビームCT再構成画像の解像度、鮮明度についてノバリスTxとエレクタシナジーシステムで差異がないか検討する。さらに、エレクタシナジーにおいてコーンビームCT撮像に使用するコリメータを複数選択可能であるため、至適撮影条件を検討する。ノバリスTxで治療した症例について初期臨床成績(早期の病変閉塞率、急性期・晩期の有害反応の有無)についても解析を進める。最終年度であり、これまでの研究成果について学会論文発表を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Frameless SRS CT/Angio localizer & Target Positionerを購入し正側2方向のdigital subtraction angiogram (DSA)血管造影画像との比較検討を予定したが、事前の検証で、マスク内での頭部の位置再現性の担保が困難であることが判明し、同一条件での比較検討が困難なため購入を中止したため。
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次年度使用額の使用計画 |
エレクタシナジーシステムでのコーンビームCT撮影の至適条件について検討する必要性が生じたため、異なる条件での比較検討と新たな撮影条件での画質向上のためコリメータキットを購入する予定である。また、学会発表、論文化に向けての取り組みが昨年度不十分であったため、英文校正費、必要により掲載費用、旅費に使用する予定である。
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