子宮頸癌の腔内照射において、直腸・膀胱といった危険臓器(Organ at risk: OAR)の線量を低減化するということは非常に重要である。これまでの2 次元的な腔内照射において線量の低減化はX線ガーゼを膣内に挿入しOAR と距離を取るという形で行われてきた。しかし近年技術の進歩に伴い、CT、MRI を用いた画像誘導小線源治療 (Image guided brachytherapy: IGBT)が導入されつつある。これによってより正確な治療が可能となったのと同時に、従来のX 線ガーゼを用いたOARの線量低減化はその手法及び画像描出能等で改善すべき点が明らかとなってきた。今回の研究はより安全な腔内照射の施行を目指して、確実にOAR との距離を確保でき、安定的でかつ3 次元画像上明瞭に描出される新規膣壁拡張スペーサーを開発し、臨床応用することを目的としていたが、しかしその後の検討においてよりよい小線源治療を行うためには日本人向け・アジア人向けの個別のapplicatorの新規開発・改造等の必要性も出てきており、その中でスペーサーに関しても当初のものとは計画の変更を求められており、今後さらなる発展的な研究を行ってゆく必要性がある。
|