研究課題
頭頸部癌に対する治療方針の決定には、リンパ節転移の評価が重要であり、局所進行例には、潜在的リンパ節転移を考慮した予防的頸部郭清術や全頸部照射が行われている。しかし、多くの症例において術後の病理標本にリンパ節転移は認められない。そればかりか、術後の合併症として、副神経麻痺による肩の痛みが問題となる。また、予防的放射線治療として行われる全頸部照射では、皮膚炎や粘膜炎だけでなく、唾液腺障害による口腔乾燥症が必発である。そこで、組織学的リンパ節転移の有無および予防的治療の必要性を判定する評価法の開発が望まれる。本年度は下咽頭癌を対象にリンパ節転移の分布を所属リンパ節区分に基づいて検討した。研究期間全体を通じて、原発部位毎にリンパ節転移の分布を明らかにした。さらに、口腔癌および下咽頭癌において、稀な部位へのリンパ節転移を有する症例が予後不良となる傾向を見出した。すなわち、リンパ節の評価が、治療方針の決定だけでなく、予後予測に繋がる可能性が示唆された。コンピュータを用いた画像診断支援として、腫瘍と正常組織の抽出、および腫瘍内変化量の3次元的解析による鑑別診断法を開発した。さらに、より精度の高い認識や予測を目指して、認識・機械学習器(Convolutional Neural Network: CNN)、注目すべき物体を効率的に検出する手法(Objectness)などについて基礎検討を行った。これらの知見や技術の癒合は頭頸部癌におけるリンパ節転移の診断能向上に寄与し、標準的治療範囲を提供する治療計画支援システムへの応用が期待される。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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