研究課題/領域番号 |
25461921
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
眞正 浄光 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20449309)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 線量分布測定 / BNCT / 熱蛍光 |
研究実績の概要 |
本課題は、濃縮10B を含有する板状の熱蛍光体によって、ホウ素中性子補足療法(BNCT)の10B 分布と濃度測定等に有用な新しい中性子オートラジオグラフィ(NCAR)法を開発することを目的としている。平成26年度までに、高分解能イメージングが可能なAl2O3を主原料としたセラミックス基盤の熱蛍光板状線量計(Thermoluminescence slab dosimeter: TLSD)を開発し、このTLSDと板状コンバーターまたはホウ酸含有TLSDによる中性子イメージングの有用性が高いことを明らかにした。 平成27年度は、Al2O3を主原料としたTLSDの高感度化と、高感度化したTLSDに中性子捕獲材としてホウ酸を添加したときの熱蛍光特性の変化について取り組んだ。Al2O3を主原料としたTLSDは、Crの添加により感度特性と捕獲準位の熱安定性が向上した。中性子捕獲材として添加したホウ酸は、熱蛍光特性を低下させるがBNCT等で使用する線量分布の取得に必要な感度は有していることが分かった。また、ホウ酸の添加はTLSDの堅牢性を低下させることも明らかになった。これらの結果から、Crとホウ酸の添加量を最適化することが出来た。成果は、国内外の学会で発表し、国際学術誌にも論文化された。知的財産の創出に関しては、本技術に関する特許が特許登録され、新たな特許出願も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近畿大学や京都大学の原子炉が稼働していなかったため、当初の計画通りに研究を進めることが出来ず、実際のBNCTの照射場に対応した検討が行えなかった。しかし、Pu-Be線源を用いた実験や、放射線医学総合研究所の中性子照射施設(NASBEE)を利用して必要なデータを取得し、知財の創出を含め新しい中性子イメージング方に関する成果を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までは、原子炉が稼働していなかったため、実際のBNCTの照射場と比較して極めて低い線量下での実験に限定されていた。そのため、平成28年度は、できるだけBNCTの照射場に近い実験体系で実用性を意識した基礎特性の調査を行う。また、その結果をもとに熱蛍光板状体を用いた新しい中性子オートラジオグラフィー法の開発を提案する。平成28年度も原子炉が稼働しなかった場合、または、利用できなかった場合は、放射線医学総合研究所の中性子照射施設であるNASBEEを利用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等において節約ができたため、89円の残額が生じたが、研究を遂行する上で必要なものを購入できる額ではなかったため、次年度に有効に使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度計画で使用予定の試薬の購入や学会参加費や旅費の一部として使用する。
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