研究課題/領域番号 |
25461922
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
荻野 伊知朗 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20275035)
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研究分担者 |
吉田 浩 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (50405007) [辞退]
北川 雅一 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (40596136)
大村 進 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (50145687)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | fiducial marker / Calcium phosphate cement / Cone beam CT / MRI / cervical cancer |
研究実績の概要 |
Biopex-R の粉末と液体を混ぜたペーストを0.1-0.2 mL、19-G長針を用いて子宮頸がん患者に注入した。 このペーストは、生体内で硬化しカルシウムハイドロキシルアパタイトになる。6名の患者において、リン酸カルシウムセメント(CPC)ペーストを子宮頚部の腫瘍1cm深部3-5箇所に挿入した。その2時間後に治療計画CTを撮影した。最初に全骨盤外照射を開始し、27-28回行った。更に高線量率腔内照射を2-3回施行した。CPCマーカーの可視性を外照射前に撮影したCone-beam CTおよび腔内照射前のT2強調MRIで 評価した。Systematic変位とrandom変位は、マーカー重心を3軸方向で分析した。この結果、手技は、痛みや出血などにより妨げられることはなく、安全に行われた。計画CTで確認できた22個のCPCマーカーの内、17個のCPCマーカーを最初のCone-beam CTで確認できた。1名の患者で全マーカーが外照射中に失われた。この患者は腫瘍容積が最も大きく、CPCマーカー挿入前のヘモグロビンが1番少なかった。この患者を除いたすべての患者で全マーカー16個を外照射中に確認することができた。16個のCPCマーカーの内、13個を最初と最後のMRIで確認することができた。CPCのMRI信号強度は低い。MRI で確認できなかったマーカーは、Cone-beam CT上、頚管近傍に存在していた。骨解剖を元に計算した平均の平均/systematic変位 / random 変位は、左右方向 0.2/0.4/1.4 mm、背腹方向-1.6/5.1/4.1mm、頭尾方向-3.4/2.1/2.8 mm であった。CPCマーカーは脱落やアーチファクトが少なく、Cone-beam CTやMRI で確認できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会(American Society for Radiation Oncology Annual Meeting 2016)に受理され2016年9月に発表する予定である。また、国際雑誌(Radiation Oncology)に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方針について以下を検討中である。 1.原材料の組成などについて他分野研究者と協力し、更に適切なマーカー作成する。特許獲得を目的とする。 2.手技の検討:1ccのシリンダーを用いて正確な容量を注入してその評価を行う。 3.子宮頸がんの他、乳がん、消化器がんへの適応を広める。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床研究参加者に正当な治療を受けていただくため、公正な説明を行った。そのためか、なかなか、参加者が集まらず、今年度までに得られた症例は6例であった。更に症例数を増やして研究するとともに、国際学会ならびに国際雑誌で発表する費用が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
"Calcium Phosphate Cement Paste Injection as a Marker of Cervical Cancer"という演題が2016年9月25日から開催されるアメリカ放射線腫瘍学会で受理されたため、ボストンで発表予定である。同内容の論文を国際雑誌Radiation Oncologyに投稿中である。これらに経費が必要となる。注入容量を調節する新たな試みを行うため、Biopex-Rを購入する。
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